入れ歯について2 〜入れ歯の安定性を高める〜

入れ歯の安定性を高めるために私が気をつけているのは、入れ歯を作るときに、入れ歯のふちを粘膜により密着するように筋形成という手順をふむことです。
これは全く歯がないか、ほとんど歯がない場合など、入れ歯の吸い付きが求められる場合に効果が高いと感じています。

また、歯がない上に、合わない入れ歯を長期間使っていた方は、自分の正しいかみ合わせの立体的な位置関係を忘れていることがあり、かむ場所が定まらない(いろんな場所で噛めてしまう)場合があります。
このまま入れ歯を作ると、上下がずれた入れ歯になってしまいます。
このような時は、ゴシックアーチ描記(びょうき)法が有効です。

これは、入れ歯を作る途中のかみ合わせを採る段階で、ゴシックアーチ描記装置を使って、咬合平面に下あごの動きの記録をとることで、正しいかみ合わせの位置を探し出す方法です。

また長い期間入れ歯を使用して片噛みしていると、入れ歯のかみ合わせの部分がすり減って、左右のバランスなどが狂ってくることがあります。
作り直す場合は左右の顔つきのバランスを考えて入れ歯をデザインしますが、普段から片噛みしないように心がけることも必要です。



入れ歯について1 〜入れ歯の合いにくい人とは〜

同じ方法で入れ歯を作っても、ピタッと入れ歯が吸い付いて快適に使用できる方と、口を開けるとパカッと入れ歯が落ちてきたり、何度調整しても次から次へと痛いところがでてきて、なかなか調整がうまくいかない方がいらっしゃいます。

入れ歯の不調の原因の一つに、顎の骨の出っ張りがあります。
よく見られるのは、上の顎では口蓋といわれる裏側の後ろの方と、後ろの歯の外側であり、下の顎では犬歯や小臼歯の裏側の下の方です。

骨が出っ張ることで歯ぐきが入れ歯に強く当たりやすく、傷ができやすくなります。

また突起を避けて入れ歯を作ると、その分小さくなり、そこから空気がもれて外れやすくなります。

ほかに、歯ぐきと頬や舌の間のスジが大きい、口蓋が浅い、粘膜が薄い、ツバの量が少なくお口が乾いている、などが入れ歯が合いにくい要因となります。



歯科のギモンに答える11 〜根の治療の難しさF〜

歯根の治療をしたあとに自発痛や打診痛、腫れ、排膿などの不快症状が現れたり、治療後に一度消失していたものがしばらく経ってから再び出現したりすることがたまにあります。
その時に決断を迫られるのが、根の再治療をするのか、経過をみるのか、外科的な再治療をするのか、抜くのか、という選択です。
この判断も統一された見解がなく、歯科医師の裁量に任されています。

ある本には、その時期的な判断の目安として、初回の抜髄の場合は術後1年間は経過を見て、何度か根の治療履歴のある感染根管治療の場合は術後4年を一区切りとし、それ以降でも治癒傾向のない場合は患者様の同意が得られれば再治療するかどうかを決定するとよいと書いてありました。

再治療するにあたっては、根管にアクセス可能か、ポイントやファイルなどの根管内異物を除去可能か、見落とした根管を発見できるか、安全に根管再形成ができるか、術前以上の治療効果が見込めるかを慎重に判断する必要があります。



歯科のギモンに答える10 〜根の治療の難しさE〜

今回は根管治療の仕上げである根管充填について説明します。

根管充填とは、根管治療で清掃、消毒された歯の根管の中の空洞を封鎖して歯周組織への感染を防ぎ、歯根の先にできていた病気を治し、歯の機能を維持させるものです。

私は、根管充填は、普段は緊密に充填されており、再治療が必要な時には除去することができるものが良いと思っています。

根管充填には、古くは綿を根の形に丸めて詰めていましたが、最近ではこの方法は行われず、ガッタパーチャーを代表とするコアマテリアルとコアマテリアルの周りの隙間を埋める、シーラーという材料を使います。

コアマテリアル、シーラーともに様々な種類が存在しており、先生のこれまでの経験や知識により使う材料の種類が異なります。
また、根管充填の術式も大まかに側方加圧充填、垂直加圧充填があり、それぞれがまた再分化していて、細かい材料や方法についてどれが一番望ましいのかは先生によって見解が異なり、統一されていないようです。
そのためあまり患者様に知らされることもありません。



歯科のギモンに答える9 〜根の治療の難しさD〜

今回は根管治療薬について説明します。

根管治療ほど、歯科医によってその治療方法や治療薬剤に考え方の差があるものはないでしょう。

治療法については、時代によって考え方がかなり変化しています。
私が歯科大学で教わった方法では、現在は通用しないものもあります。

根管治療薬は、古くは亜ヒ酸が使用されていたらしいですが、その毒性の強さのため現在はほとんど使用されていないと思います。

私は歯科大学でヨードやホルマリン化合物を使うように教わりましたが、現在では薬物アレルギーなどの化学物質過敏症の患者さんの増加のために使用を避ける傾向にあるかもしれません。

現在私が主に使用しているのは水酸化カルシウムです。
水分に溶けてアルカリ性となり殺菌作用を発揮します。
ほかに血管収縮作用、有機質溶解作用、石灰化誘導作用、滲出液抑制作用を期待できます。



歯科のギモンに答える8 〜根の治療の難しさC〜

根管治療をしてもらって、痛みが軽くなると、治ったと勘違いをされる方や、痛くなくなったからもう良いと思われる方が時々いらっしゃいます。

ですが、これは将来もっと大きな問題を抱えることになります。

根の治療の途中で歯科医院に通わなくなると、どうなるか?

根の中は、象牙質という、むし歯菌に対する抵抗が低い組織でできており、内側からむし歯菌が急速に歯を溶かして、せっかく治療可能であった歯が、いずれ深いむし歯で抜かなければいけない状態になってしまうのです。

また、根の中に仮につめた薬の効果は2週間くらいしか効きませんので、間を空けすぎると根の中の腐敗が進み、治療が長引くことになります。

また、いくら根管充填を完璧に行ったとしても、ミクロのスキマから細菌が根の先まで到達すると、感染根管という根の外側の病気になってしまい、再根管治療が必要になります。

一度根の治療を始めたら、根の最終的な詰め物をして冠や詰め物で穴をふさぐまで、通うようにしてください。



歯科のギモンに答える7 〜根の治療の難しさB〜

根の治療の難しさについては、前回までにお知らせしてきました。  
今回は歯周病と感染根管(歯根先端の外側の病気)の関係についてお話します。

歯周病と感染根管では、原因となる細菌の種類が異なりますし、症状も違いますが、なかにはその両方とも原因となっている場合があります。
そのときは両方を治療する必要があるのです。  

歯根先端あたりの歯肉が腫れてきた場合、症状とその腫れの出所を探して、診断します。

根の治療のむずかしさのひとつに、病気の原因が歯肉の奥深くに存在するため、直接見ることができないことが挙げられます。
そのため症状などから、原因が歯周病なのか感染根管なのかその両方かを推測するしかありません。

治療が効果的に行われると、腫れや痛みなどの症状が軽くなります。  

最近では、奥深くの直接見えない場所にある細菌に青い色素を染み込ませてから光レーザーを当てて死滅させる「光線力学療法(Photo dynamic therapy)」が開発されました。
ただ、これも一時的な症状の軽減には効果がありますが、原因を除去しなくてもよいというものではありません。



歯科のギモンに答える6 〜根の治療の難しさA〜

最近は、むし歯を長い間放置して、痛くてどうしようもなくなって、歯科医院に駆け込む方が増えました。
そのような場合は鎮痛薬や麻酔がとても効きにくいので、来院初日から治療時間が長くなったり、痛い思いをさせてしまうことがあります。

なるべく歯科治療を先のばしにしたい気持ちは分かりますが、早めに処置をすれば痛い思いをせずに済んだのに・・・と残念に思うことも多いです。

歯の治療は、痛くなってからでは手遅れだと思ってください。

自発痛がある場合は、ただむし歯の穴をつめて終わり、という治療では済まず、大きく歯を削り、根の治療になることがあります。

根の治療をすると、歯が折れたり、変色したり、むし歯になりやすくなります。
治療が終わるまでに期間も長くかかりますし、場合によっては近い将来、歯を抜かなければならなくなってしまいます。

また歯を失うような状態が何度も続くと、残っている歯への咬合負担が加速度的に増えていき、みるみる歯を失っていきます。
そうならないためにも、痛くなくても定期的に受診しましょう。



歯科のギモンに答える5 〜根の治療の難しさ@〜

むし歯が歯髄(神経と血管の集まり)まで進行してしまったら、歯髄が化膿して内圧が高まり、耐えがたい痛みとなることがあります。
これが急性歯髄炎です。

まだ生えたての歯で、根の先が閉鎖していない場合は、歯髄の創傷治癒能力を期待して歯髄を部分的に残すこともありますが、これを生活歯髄切断法といいます。

本当は可能であれば、歯髄の空洞を満たすのは、生きている歯髄が一番望ましいです。
ところが不可逆的な炎症が歯髄に起こると、耐えがたい痛みとなりますので、やむを得ず歯髄を取り除いて、人工的な材料で置き換えることになります。
これを抜髄といいます。

一度抜髄処置を受けた後に、再び根の先の外側に感染が及び、再度根管治療が必要になった場合に行うのが、感染根管治療です。

一般的に、感染根管治療の成功率は、抜髄に比べて落ちるといわれています。
それだけ、根の外側に及んだ細菌感染源を取り除くのは困難です。

根の中を走る根管は、単純な丸い断面をしているとは限らず、弯曲や分岐、ひび割れ、閉鎖、扁平な形をしていることがあり、しかもそれを外から正確に判断することは非常に難しいのです。

歯科用コーンビームCTで撮影するとある程度は根管の形を判断することができますので、難治性の根管治療に用いられることがあります。



歯科のギモンに答える4 〜むし歯は治せるかB〜

前回は、私が考える、より効果の高いむし歯治療についてお伝えしました。
今回は歯の詰め物が長持ちするかどうかに関わっている熱膨張係数についてお知らせします。

むし歯の治療では、歯を削った後に、セラミック、金属、硬質レジンの詰め物や被せ物をしますが、どんなに正確につけても必ず歯との境目には数10ミクロンのスキマができます。
むし歯菌は1ミクロンほどなので、そのスキマに入り込み、そこから歯を溶かしてむし歯が広がっていくのです。

最初はセメントでスキマがふさがっていますが、熱膨張の違いによる引っ張り応力によりセメント層が徐々に崩壊していきます。
では、各歯科修復材料がどれくらいの熱膨張係数なのか、見ていきましょう。
単位は×10-6/℃です。
エナメル質は12、象牙質は80、セラミックは10、金属は10〜20、ハイブリッドセラミックは40〜60、硬質レジンは50〜80くらいです。

詰め物をつけた直後はセメントが完全に固まっておらず、その時期に熱いもの、冷たいものを食べると、熱膨張の違いにより接着がはがれやすくなりますので注意が必要です。



歯科のギモンに答える3 〜むし歯は治せるかA〜

前回は、むし歯を再発なく治すことはできないとされている話をお伝えしました。

むし歯治療の上で問題となるのは、最小限の切削にとらわれすぎて生じるむし歯菌感染層の取り残し、コンポジットレジンの短い寿命が十分説明されていないこと、などです。
私が考える、より効果の高いむし歯治療とは次のようなものです。

・ 基本的にはむし歯検知液やレーザーむし歯診断器を使って最小限の歯の切削を行いつつむし歯菌感染層の安全な除去を行い、歯の象牙細管(象牙質にある歯髄と通じている細い管で、むし歯菌の通り道になります)をレジン系材料でしっかり封鎖すること。
・ アマルガムの害は、現在世界的にはあまり問題視されておらず、コンポジットレジンよりも耐用年数が長いことから適合性の良いものは積極的にはずさないこと。
・ コンポジットレジンの劣化による詰め直しは、窩洞を広げないように注意すること。
・ 適合性の良い冠の製作、コンポジットレジンの滑沢化に努めること。
・ 歯冠修復材料には歯と熱膨張係数(温度の上昇に対応して体積が変化する割合のことで、これが大きく異なる材料同士を接着すると熱応力により破損してしまう)が近いものをなるべく使うこと。  

次回は歯冠修復材料の熱膨張係数についてお知らせします。



歯科のギモンに答える2 〜〜むし歯は治せるか〜〜

歯科医院はむし歯を治すところだと、あなたは当然考えているでしょう。

実際、歯科医師の仕事の大部分はむし歯の治療です。
しかし世界的には、むし歯は治せないという論文が多く出されています。
その理由は、治しても数年ごとに再治療を繰り返し、そのたびに歯の削除量が大きくなり、やがて抜歯への道をたどるとされているからです。
この流れは歯のデス スパイラルといわれています。

世界歯科連盟(FDI)は、むし歯治療の方法について、ミニマル インターベンション デンティストリー(MID)という概念を提唱しました。
つまり、ごく初期のむし歯は削らないで経過観察し、再治療ではやり直しではなく、接着性コンポジットレジンで修理すれば歯が長持ちするとしています。
このMIDというコンセプトは現在日本でも広く普及し、むし歯治療の最新の考え方として多くの歯科医師に受け入れられています。

しかしMIDとは、「むし歯は治せない」という考えに基礎を置いた姑息な処置であると異を唱える人もいます。
つまり、コンポジットレジンは数年しかもたない暫間的な充填材料であり、再治療をすることを前提としているのです。



歯科のギモンに答える1 〜歯科で使うエックス線装置の放射線〜

福島の原発事故以来、放射線を気にされる方が増えました。そこで今回は放射線について調べてみました。

歯科領域で使用される放射線は主にエックス線であり、デンタル撮影、パノラマ撮影、コーンビームCT撮影、医科用ヘリカルCT撮影があります。
また、デンタル・パノラマ撮影では、X線フィルムに投影して現像するアナログタイプと、CCDセンサーに記録するデジタルタイプがあります。

1回の撮影あたりのおおよその被曝線量を次に示します。

デンタル撮影デジタル 0.006mSv、
フィルム 0.01mSv
パノラマ撮影デジタル 0.01mSv、フィルム 0.04mSv
コーンビームCT撮影 0.4mSv
医科用ヘリカルCT撮影 2.0mSv

参考までに、世界平均自然放射線量は1日あたり0.007mSvです。

放射性物質(いわゆる放射能と理解されている)は体内に残留しますが、診断用エックス線は身体にまったく残りません。
また、現在の医療においては、診療のために放射線の使用が不可欠で、病気の早期発見や治療に役立っています。



歯列矯正治療について知っておくべきこと13 〜一期治療と二期治療とは〜

全体的な矯正治療には、乳歯列期、乳歯と永久歯が混在する期間に行う一期治療と、永久歯列期に行う二期治療があり、それぞれ治療の目的が違います。

一期治療の目的は、骨格的なかみ合わせの改善と、歯が並ぶスペース不足の解消、永久歯が正しい位置に生えてくるように誘導することです。

一般的に、乳歯列期では、2歳から4歳にかけて顎の成長とともに横方向に自然と拡がっていきますが、4歳を過ぎると横方向へあまり拡がらなくなるので、その時点で顎の横幅が狭ければ、顎の幅を横に拡げるための矯正装置を付けた方がよいでしょう。

二期治療の目的は、永久歯の不正咬合の悪化を防ぎ、正しい位置に歯を配列することです。

また、一期治療のみの場合と、二期治療に及ぶ場合では矯正料金が大きく異なる場合が多いので、事前にある程度予測してもらうとよいと思います。



歯列矯正治療について知っておくべきこと12 〜「アライナー」を用いた矯正とは〜

最近「アライナー」というマウスピース状の取り外せる矯正装置を用いる矯正治療が行われるようになりました。
これは薄いプラスチックシートの弾性を利用して矯正力を働かせて歯を移動させる仕組みです。

ただ、つけているときしか矯正力が働かないので、基本的に食事と歯磨き以外の時間(1日あたり17時間以上)はずっと装着している必要があります。
また、ひとつの型から作る「アライナー」で1ヶ月間で最大約1mmの歯の移動しかできませんので、移動が完了するまでには何回か型を取ってその都度「アライナー」を作り換える必要があり、通常約1年の動的治療期間が必要です。  

「アライナー」は歯にかぶせて使うため、使用できる症例はある程度限られます。
適しているのは、通常の矯正装置をつけることができない、あるいは外観から矯正装置をつけているように見られたくない方で、主に前歯のみの軽度の歯並びの矯正を必要とする場合です。
同時にホワイトニング材の使用で歯を白くすることも可能です。

逆に、4mm以上の歯の移動、歯の平行移動、大きな垂直的な歯の移動が必要な場合や、骨格性の矯正治療は困難とされています。
また毎月外注技工操作が必要なため、料金も比較的に割高になると思います。



歯列矯正治療について知っておくべきこと11 〜全部矯正の流れについて〜

今回は全部矯正治療の具体的な流れについてお話しします。
当院では次のように行っていますが、医院によっては異なる場合もあるかもしれません。

@ 問診、全体のレントゲン写真撮影、お口の写真撮影、型取り 歯並びをどうしたいのか希望を聞き、現在の状況・問題点の説明をします。
記録資料を取り、永久歯が全部そろっているか、変な方向に歯が埋まっていないか等を診査します。

A 診断、治療目標の設定 資料と患者様の希望をつき合わせて、可能な治療目標を設定し、治療に必要な期間や装置の種類についての説明をします。
患者様の同意を得てから治療を開始します。

B 矯正装置製作、装着

C 装置の調整、歯の清掃など 矯正装置が入っていると磨きにくいので、虫歯にならないよう、装置の調整とともに術者による歯磨きを行い、汚れを除去します。

D 再評価・動的治療終了 当初の目標が達成されたか模型や写真を用いて説明し、ご了承いただければ動的治療を終了します。

E 保定・3ヶ月に一度のメンテナンス 歯の移動が終わっても歯肉の繊維が再構築されるまでは歯の位置が動かないようにリテーナーを装着し、定期的にチェックします。



歯列矯正治療について知っておくべきこと10 〜保定について〜

矯正治療により歯の移動が目的通りに完了したとしても、それで矯正治療が終わったわけではなく、その後に保定という処置が必要となります。

保定とは、歯の移動が終わった後に移動後の位置に歯を機械的に固定することです。
なぜ保定が必要なのかというと、歯の移動後はしばらく歯の支持組織全体が元に戻ろうとする力が残っているためです。
歯の支持組織の再構成にはある程度の時間がかかるため、保定期間は6〜10ヶ月は必要です。
一般的に小児の場合よりも成人の矯正のほうが長期間の保定を必要とします。

保定装置にはいくつか種類があります。

@マウスピースタイプ:透明な型枠を歯全体にかぶせて使用します。目立ちませんが、これをつけたまま食事はできません。

A床タイプ:プラスチック製の入れ歯のような装置です。針金が見える部分にあるので少し目立ちますが、つけたまま食事できます。違和感は強めです。

Bアイランドリテーナー:床タイプの床を取り除いたような装置で、比較的細い針金が目立たない位置にあるので見た目はよく、つけたまま食事できます。違和感は軽めです。



歯列矯正治療について知っておくべきこと9 〜部分矯正について〜

部分矯正(マイナートゥースムーブメント、MTM)とは、気になる部分だけ部分的に矯正装置をつけて歯列不正を治す方法です。

部分矯正が必要と思う場面は多く、たとえば見た目の悪さの改善、悪いかみ合わせの改善、歯にかぶせ物をする前処置や、歯周病の原因除去、顎関節症治療などが考えられます。
歯列不正の原因が部分的にとどまらず全体に起因している場合は、部分矯正より全部矯正の方が好ましいです。
歯を動かすには、継続的な力を歯にかけて、歯が植わっている歯槽骨や歯肉ごと位置を移動させます。

歯を動かす種類には、必要な力が軽いものから順に次のようなものがあります。
挺出:歯を引っ張り出します。
傾斜:歯を傾けます。
回転:歯をねじります。
歯体移動:歯を平行に横に移動させます。
圧下:歯を埋め込みます。

これを組み合わせて乱れた歯並びを整えます。
歯並びが悪くなった原因を考えて、その原因を取り除かないと、治療後に再び後戻りする可能性が高くなります。



歯列矯正治療について知っておくべきこと8 〜永久歯列での抜歯について〜

矯正治療はそれぞれの大学で矯正の理論が違い、定説というものはありません。
ここで取り上げる話題は、院長が納得したものについて考察を加えて掲載しています。

今日は永久歯列での抜歯についてです。
乳歯が抜けてすべて永久歯に生え変わっている時期を、永久歯列期といいます。
永久歯列期の矯正では、歯が並ぶ歯槽堤の大きさが、生えてくる歯の大きさに対して小さい場合、第3大臼歯(親知らず)があればこれを抜歯したほうが良いです。
それは第3大臼歯の生えてこようとする力で矯正治療後に再び歯列不正が起こる可能性が高いからです。
ただ、手前の歯に大きな虫歯や歯周病があって残すことが困難な場合、第3大臼歯を第2大臼歯の位置に移動させることが可能な場合もあります。

成人矯正では小臼歯の抜歯の是非がよく論議されますが、私はなるべく抜歯しない方が良いと思います。
小臼歯を抜歯する前に、大臼歯が舌側や前方に倒れこんでいる場合はこれを起こすことで前方にかなりのスペースが確保できますので、これを利用することを考えます。
西洋人では、口元の好みが異なるので、積極的に小臼歯を抜歯する傾向があるようです。
また、前歯は歯列不正が目立ちやすいところですが、前歯を抜いたときに、歯列不正があればその隙間を利用して前歯の歯列を整えることができます。



歯列矯正治療について知っておくべきこと7 〜歯を抜かない床矯正のしくみ〜

最近は顎の成長が十分でなく、歯が並びきらない子供たちが増えてきています。
歯の並ぶスペースが足りなければ歯並びが悪くなります。この状態で放っておいても自然に治ることはなく、だんだんと悪化していきます。
床矯正とは、はずすことのできる装置を歯列にはめて矯正力をかける矯正治療で、その目的は、将来永久歯の生えるスペースを確保するために顎の大きさを拡げることにあります。
おもに小学校低学年くらいから使うことができます。
はずせるので食事のときや学校に行くときに、はずしておくことができます。
取り扱いを正しく行えば、痛くなく、虫歯になりにくい装置です。 ただ、1日に大体14時間くらいはめていないと効果が十分に発揮されません。
はずしているときは矯正力が働かないので、根気強く治療を続ける必要があります。
また、装置の構造上、基本的に押し広げることしかできませんので、歯の回転、歯根ごとの平行移動(歯体移動)や歯の角度の調整(トルク)が必要な矯正には向いていません。
床矯正によって永久歯がきれいに並んだあとは、歯の角度や捻転、上顎と下顎の位置関係を改善するために、ブラケットやワイヤーを用いた全顎的な矯正が必要になる場合があります。



歯列矯正治療について知っておくべきこと6 〜矯正治療の3つの方法について〜

歯並びの治療は一通りではなく、考え方の違いにより3つの方法があります。
なるべく歯を抜かない矯正治療においても、それぞれの方法を使う場面があります。

@口腔外科的治療:歯が生えるスペースがないときに、歯を抜いてスペースを作ります。
永久歯が生えてきているのに乳歯が抜けない場合、親知らず(智歯)が手前の歯を前方に押していて歯列不正を悪化させている場合、歯列からまったく違った位置に歯が生えていて、矯正的に移動させることが困難な場合は、歯を抜くことも考えます。

A補綴的治療:歯を削ったり、クラウンをかぶせたりして歯並びを変えます。
患者様が矯正装置をつけることを拒否して補綴的治療を希望した場合、すでにクラウンなどがかぶせてある歯で、歯を削るリスクが少ない場合などが当てはまります。

B保存的治療:歯が並びきらない小さな顎を拡げます。
近頃では噛む力の減退で、歯が舌側に倒れこんだり顎骨の大きさが小さいことが多いようです。
取り外し可能な装置や固定性装置を使用して、歯がきちんと並ぶ大きさに顎の成長をうながします。
歯を抜かないので噛む効率が悪くなったり顔つきが貧相になったりしませんし、歯を削らないので新たな虫歯の原因を作る可能性を減らすことができます。



歯列矯正治療について知っておくべきこと5 〜姿勢について〜

姿勢の悪さは歯並びに影響します。
人間は約200の関節をもち、常に関節と筋肉でバランスをとっているので、姿勢が傾くと体のバランスをとろうとして頭や顎の位置が変わります。
たとえば、猫背になると体の重心が後ろに移動するのでバランスをとろうとして頭が前に移動します。
すると下顎が後ろに引っ張られて下がり、口がポカンと開いたり、肩こりなどが起こります。
座ったときの姿勢では、足が床についていないと体が不安定になり、猫背になります。
また、普通のイスに座ると腹が圧迫されて苦しいので猫背になりやすいです。
そこで、座面を前に傾けると体は倒れないようにバランスをとろうとして、自然と姿勢がよくなります。
私がいつも診療のときに愛用しているサドルチェアーも座面が前に傾いていて、背もたれがないのによい姿勢を保つことができます。

では、普段使っている外靴の底を見てみてください。
靴のかかとが減っている場合は、体の重心が後ろにあることを示しています。
その場合普段の歩き方はペンギンのようなすり足ではないですか? 肩が左右どちらかに傾いている場合は、左右のバランスがよくありません。
いつも同じ方向にテレビがある、母親がいるなど、そちらの方向ばかり向いていると筋肉のバランスが悪くなります。
食卓でもときどき座る場所を変えるなど、工夫が必要です。



歯列矯正治療について知っておくべきこと4 〜噛むことの重要性について〜

よく噛むことで、どのような効果があるでしょうか
@唾液の分泌が多くなることで、殺菌効果や食物の消化が良くなります。
A口の周りの筋肉が発達して、しまりのある顔になります。
B脳に刺激を与え、記憶力や集中力、リラックス効果を高め、肥満を予防します。
C顎の骨が成長して歯並びが良くなります。

では、よく噛むとは、具体的にどうすればよいのでしょうか?
@虫歯を治す、また虫歯になりにくい生活習慣を身につけましょう。
A満腹中枢を刺激するため、食事はゆっくりと時間をかけましょう。また、適度な空腹を感じて食事をしましょう。朝ごはんはとても大事なのできちんととりましょう。
Bこどもの情緒を安定させるため、家族がそろって同じものを楽しく食べる食事環境を作りましょう。
C食事中の姿勢(足をぶらぶらさせない、猫背にしない)に注意し、食物を水で流し込む「流し食べ」をやめましょう。
D硬いものだけを食べるのではなく、噛む回数を増やすように調理法を工夫して、大きく切り、歯ごたえを残し、食材の組み合わせに気をつけましょう。

以上をときどき思い出しながら、食生活に活かしていくと良いでしょう。



歯列矯正治療について知っておくべきこと3 〜筋機能トレーニングについて〜

歯並びが悪くなる原因の例を前回お話しました。
これらは、原因となっている悪い癖をやめさせることに加えて、筋機能トレーニングをすることで効果的に症状を改善できる場合があります。

例を見てみましょう。
@口の周りの筋肉のトレーニング
口の周りの筋肉の発達が十分でないと、ポカンと口を開いたり「への字口」になり、歯並びも悪くなります。
このような時は口にクリップなどを30分以上くわえ続ける、風船を3分間何度も膨らます、などが有効です。
A舌のトレーニング
また舌の位置が悪い(下にさがって舌に歯の圧痕が付いている)と、上の顎が狭くなり歯並びが悪くなり、口で呼吸するようになりますので、噛んでも硬くならないガムを使って、上の顎に押し付ける訓練が効果的です。
また物を食べるときにいつも舌が口から出るのは、悪い飲み込み方をしていますので、ガムを使ったトレーニングで正しい飲み込み方を習得させましょう。
B噛む機能のトレーニング
舌の前歯のギザギザが3年たってもなくならない、歯と歯の間に隙間がありよく物が噛めないときは歯に噛む力がうまく伝わっていないことがありますので、固めのチューブを両方の小臼歯や乳臼歯でかむことを1日3分繰り返すとよいでしょう。



歯列矯正治療について知っておくべきこと2 〜歯並びが悪くなるしぐさ〜

歯列不正の原因はさまざまですが、普段何気なくしているしぐさが歯列の乱れに影響していることが多いので、お子さんの場合は親御さんが気をつけて観察してみましょう。
たとえば次のようなしぐさをしている場合は要注意です。
・下唇を噛む
・手の指をしゃぶる
・つめやタオル、鉛筆などを噛む
・舌を口から出す
・口で呼吸している(鼻が詰まっている場合が多い)
・猫背
・頬杖をつく
・うつ伏せや横向きで寝ている  

弱い力でも、長い期間同じ方向から力がかかると、歯の生えている方向がずれてしまいます。
外から力がかかると内側にずれて歯列が狭くなって歯並びが悪くなります。
内側から力がかかると外側にずれて出っ歯になったり歯と歯の間のすきまが広がったりします。  
たとえ矯正治療で歯並びを治しても、上記のしぐさがあれば、また歯並びが悪くなります。
歯並びに悪いしぐさを見つけたら、サインを決めてそのつど本人に気づかせることでしぐさを止めさせる効果があります。



歯列矯正治療について知っておくべきこと 〜矯正はいつ始めればよいのか〜

最近よく「矯正を始める時期は、永久歯が生えそろうまで待った方がよいのでしょうか」という相談を受けます。

皆さんは、スキャモンの発育曲線を覚えていますか。
頭に近い上の顎の骨は神経系の発達に近く、10歳頃までにほぼ成長を終えますし、下の顎の骨は一般骨格の発達に近く、10歳を過ぎた頃から2次成長が始まります。
歯列矯正に適した時期とは、この成長の時期と一致します。
つまり、下顎前突(受け口)の治療は乳歯列期から混合歯列期がよく、上顎前突(出っ歯)の治療は混合歯列期から永久歯列期がよいとされているのです。

また、犬歯(糸切り歯)は根が大きいので、これを動かすには相当大きな力が必要です。
13才頃に生えてきますが、これが生えてからだと、前歯の移動が制限されてしまい、4番目の歯を抜いて治療する可能性が高くなりますし、治療期間も長くなります。
4番目の歯を4本とも矯正治療のために抜くと、親知らずをいれずに数えると本来28本の歯が24本になってしまいます。
そうなると口元の見た目が貧相になってしまったり、物を噛む効率が悪くなったりする可能性があります。
最近は歯の大きさに対して顎が小さい場合が多く、放置していると叢生(乱ぐい歯)になってしまいます。
早めに顎を横に広げることで歯列不正を予防し、永久歯がきれいに並ぶ可能性が高くなります。



インプラント治療で気をつけることその13 〜インプラント周囲炎について〜

自分の歯が一生もつ保証がないように、インプラントも一生もつ保証はありません。
あなたは自分の歯を長持ちさせるためになにをしますか?
歯磨き、歯医者さんでのメンテナンスクリーニング、歯磨きチェック、歯垢中の細菌チェックなどでしょうか?
当然これはインプラントにも当てはまります。というより、自分の歯よりも細菌感染に弱いと考えておいて間違いはありません。

細菌をお口の中から消滅させることは不可能ですから、いつもインプラント周囲の清掃状態に気を使い、歯科医院で定期的な清掃をしてもらうことは絶対必要です。
でも、もしインプラントの細菌感染が起こってしまったらどうするのでしょうか。
考えられる対処法は、インプラント表面の感染部の清掃、炎症組織の消炎、炎症を起こしている原因因子(例えば強いかみ合わせの力など)の除去です。
もしインプラント自体が揺れ動いているようならインプラントの除去も考えなければいけません。



インプラント治療で気をつけることその12 〜インプラント上部構造(冠など)について〜

インプラントは、全体がひとつのパーツでできているものと、二つ、三つのパーツでできているものがあります。
ひとつのパーツのものは、上部構造は冠タイプです。
ジョイントがないので緩む心配がないのが利点で、埋入直後から外力がかかる、埋入方向が修正しにくいのが欠点です。
二つ以上のパーツのものでは、もっとも適した上部構造を選ぶことができ、また装着後に選び直すこともできること、埋入直後に外力がかかりにくいのが利点で、ジョイントが緩んだり破損したりする可能性があるのが欠点です。

上部構造の種類は次のようなものがあり、組み合わせることもあります。
・土台+冠(セメントで固定する)
・土台と冠が一体になったもの(ネジで固定する)
・コーヌス冠(内冠と外冠で固定する)
・ボールアタッチメント(ゴムリングと雄部で固定する)
・マグネットアタッチメント(磁石と金属板で固定する)
・バーアタッチメント(インプラント間をバーでつないでクリップで固定する)
インプラントの種類によって対応できないものもあるため、インプラントの種類の選択は重要です。



インプラント治療で気をつけることその11 〜代用骨について〜

インプラント治療においては、審美的、機能的に望ましいインプラント埋入部分に十分な骨の量がない場合、先月お話しした方法のいずれかを選択することができますが、解決法のひとつとして、骨の量を増やしてインプラントを支持させることができます。

免疫的、生物学的な安定性を考えると、もっとも確実なのは自家骨(自分の骨)移植です。
自家骨の採取には、少量なら下顎の下部や側面部、上下顎の骨隆起部、広範囲なら腸骨(腰の骨)を主に使いますが、手術部位の増加、患者様の苦痛、骨採取部の感染リスクなど、マイナス要因も少なくありません。

そこで人工的な材料(代用骨)を骨の代わりとして使用する方法があります。
代用骨には3種類があります。その特徴を次に説明します。
・同種移植材:ヒトの骨から精製された脱灰凍結乾燥骨などで、アメリカ歯科医師会が認可しており、骨誘導能、骨伝導能を有し、良好な骨補填が期待できます。
・異種移植材:ウシの骨や天然サンゴなどから精製された天然ハイドロキシアパタイト(天然HA)で、アメリカ歯科医師会が認可しており、骨伝導能を有します。
・人工代用骨:合成HAやβ‐TCP(骨形成に働く活性化因子)などで、アメリカ歯科医師会に加え、日本厚生労働省が認可しており、骨伝導能を有します。国内で販売されています。



インプラント治療で気をつけることその10 〜顎の骨が少ない場合の対処方法〜

口腔インプラントは基本的に骨のある部分に埋入します。

インプラント埋入予定部位に十分に骨の量がある場合はそのまま通常通りに埋入できるのですが、顎骨が吸収していて骨の垂直的長さや幅が少ない場合は環境の改善が必要です。
具体的には次のような方法があり、単独あるいはいくつか併用します。

・ 骨の垂直的長さを確保するためにわざと斜めに傾けてインプラントを埋入することで、傾斜埋入といいます。
・ 骨を横方向に押し広げながらインプラントを埋入することで、リッジエクスパンジョンといいます。
・ 骨から飛び出さないようになるべく細い、あるいは短いインプラントを埋入します
・ 移植骨や代用骨を使って骨の量を増やしてからインプラントを埋入することで、ソケットプリザベーション、ソケットリフト、サイナスリフト、GBRなどがあります。
このとき使う骨は、自分自身の骨であれば埋入時に削った骨、顎のほかの部分の骨や、腰の骨(骨髄)を使います。
代用骨については別の機会に詳しく説明しようと思います。
・ 骨に縦の切れ目を入れて、わざと少し骨折させて幅を広げてインプラントを埋入することで、スプリットクレストといいます。
スクリューで毎日少しずつ骨を広げていく方法を仮骨延長術(ディストラクション)といいます。



インプラント治療で気をつけることその9 〜インプラントのかみ合わせ〜

インプラントは普通の歯に比べてかみ合わせに注意が必要です。
なぜなら、インプラントには「歯根膜」という普通の歯に見られる感覚受容器が存在しないからです。
つまり顎の骨と歯との間にクッションの働きをするものがなく、またかみ合わせの力を繊細にコントロールすることができないのです。

インプラントの土台の上につけるかぶせ物の材質は、セラミック、ハイブリッドセラミック、硬質レジン、白金加金、金合金、金銀パラジウム合金など、多種の選択肢があります。
そのうちどれを選択するかによって、インプラントのかぶせ物の咬耗(歯のかみ合わせの面が磨り減ること)や、かみ合わせの反対側の歯の咬耗の起こりやすさが変わってきます。
歯が磨り減ると、かみ合わせの高さや歯に対する力の加わり方が変わるので、定期的なチェックを行って、異常な咬耗が起きていないかを見ていく必要があります。

咬耗などによりインプラントに横方向の力がかかるようになると、顎の骨とインプラントとの骨接触が失われてインプラントの長期安定に不安が生じることがあります。



インプラント治療で気をつけることその8 〜糖尿病とインプラント〜

糖尿病とは、インスリンというホルモンの働きが低下することで血中のブドウ糖が多くなりすぎて血管が硬くボロボロに老朽化する病気で、深刻な合併症や心筋梗塞、脳卒中を招く危険があり、放置すれば死に至る恐ろしい病気です。

インプラント手術に関わらず、手術時に糖尿病が問題となる理由は、手術中に糖尿病性昏睡になる危険性があること、また感染に対して弱くなり、傷が治りにくくなるからです。

糖尿病の診断基準としては、随時血糖値が200mg/dl以上、空腹時血糖値が120mg/dl以上、またはHbA1c(グリコヘモグロビン)が6.5%以上であるとされています。
もし健康診断の結果で上記検査値に異常があった場合は、内科的治療等でコントロールしてからインプラント手術を受けることをお勧めします。



インプラント治療で気をつけることその7 〜MRI検査とインプラント〜

MRI検査とは、強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です。

検査で問題となるのは、金属(磁石につくもの)を体に身につけていると、画像が乱れて検査に支障をきたすほか、MRI装置に金属が磁力で引っ張られて飛んだり、装置に引っ付いたり、金属が発熱する可能性があることです。

インプラント自体は現在チタン製のものが主流で磁石につかないため、MRI検査に支障をきたすことはほとんどないと思われます。
撮影部位については、頭部は位置がずれているので問題はありませんが、頚部では多少画像が乱れる可能性があります。
またインプラントの上部に磁石につくタイプの金属板が装着してある場合があり、歯科医師に確認したり、検査技師に伝えたほうがよいでしょう。

なお、入れ歯はMRI検査室への持ち込みを厳禁とされることが多いですが、入れ歯に磁石が埋め込まれているものもあり、それをつけたままMRI検査をすると磁力がなくなるといわれているので注意が必要です。



インプラント治療で気をつけることその6 〜骨粗しょう症治療薬(BP製剤)を使用している方のリスク〜

昨今、インプラント治療に関わらず、顎骨とくに下顎骨に対する外科的手術のときに問題となるのが、骨粗しょう症治療薬の影響と思われる顎骨壊死(略称はBRONJ)です。

BRONJ発生のメカニズムは現在仮説に過ぎませんが、BP製剤による骨硬化、血管新生の減少、壊死骨の破骨細胞による除去を阻害、口腔内細菌の増殖や顎骨への付着の増加などの原因により傷の治りが遅くなり、口腔内細菌感染が広がることで顎骨壊死するのではないかといわれています。

現時点では薬物としてのBP製剤の数多い有用性と、BRONJの発生頻度の低さ(飲み薬だと10万人に1人、注射では50人に1人ほど)とを勘案した場合、有用性のほうが重いと考えられます。
最近では骨粗しょう症予防と称してBP製剤が比較的安易に投与されているようですが、治療を受ける患者様としても、インプラント治療の可能性がある場合は医師に相談して他の治療法を検討してもらうことをお勧めします。

インプラントで健康になろうとしている人が万一インプラント手術をしたためにBRONJをおこしたとあっては大変期待外れな結果となります。
なぜならインプラント周囲の広範囲の腐った骨をインプラントごと除去する必要があり、長期間骨が露出した状態で痛みに苦しむことになるからです。



インプラント治療で気をつけることその5 〜インプラント即時埋入のリスク〜

インプラント即時埋入とは、歯を抜いたと同時にインプラントを埋入することです。
利点は手術回数が少なくて済むことと、上部構造(クラウン、ブリッジ、義歯など)の装着までの期間を短くすることができることです。

しかしその反面、インプラントの失敗のリスクが通常の埋入に比べて高いので、適応症例の選択や、術者の技術などに結果が大きく左右されると思います。
リスクが大きい理由は、手術部位の完全な閉鎖が難しいためにインプラント表面の細菌による汚染が起きやすいからです。

インプラントは歯の幅より径が小さいので、その隙間に骨に置き換わるための材料を入れるのが一般的ですが、その材料が流出したり、細菌に汚染されると骨ができず、インプラントを支える骨の量が少なくなってしまう可能性があります。
また歯肉の傷や骨の損傷の治り具合に個人差があるために歯肉や骨の退縮する量の予測が難しく、場合によってはインプラント埋入の深さが予想より浅くなったり深くなったりすることや、骨のリモデリング(骨の治ゆ過程で骨が新しく作り変えられること)による一時的なインプラント表面の骨との結合強さの低下がみられるので、かみ合わせの力がこの時にかかる場合はインプラントが骨と結合せずに脱落する危険性が増します。

このようにインプラント即時埋入にはリスクが伴うことを理解した上で治療を受けられるとよろしいかと思います。



インプラント治療で気をつけることその4 〜患者様が求めるインプラント治療と歯科医師が最善と考えるインプラント治療のギャップ〜

一般的に患者様が求めるインプラント治療への期待とは、だいたい次のようなものであると思います。
・物をおいしくしっかり噛みたい
・なるべく短期間で噛めるようになりたい
・なるべく自分の歯を残したい
・見た目に違和感のないようにしたい
・なるべく安く済ませたい

一方、歯科医師の立場から考える望ましいインプラント治療とは、
・インプラントの周りの骨や歯肉のしっかりしたボリュームを確保すること
・機能的にインプラントに過重な負担がかからないようにすること
・インプラント治療前からお口の中が清潔な状態に保たれており、インプラントを埋入した後もその状態が続いていること

では、両者が満足のいくインプラント治療とはどんなものでしょうか?私は次のようなものだと思います。
・インプラント単独で治すことに加え、入れ歯を併用するなどして本数を減らしたり期間を短くしたり、その人それぞれに適した幅広い治療法の選択肢があること
・患者様の歯、歯肉をなるべく減らさず、噛み合わせを安定させ、見た目に配慮したインプラントであること
・患者様自身もインプラントがデリケートなものであることを理解し、定期的なメンテナンスを受け、歯みがきなどの高いモチベーションを持ち続けること



インプラント治療で気をつけることその3 〜CT撮影の重要性〜

インプラント周囲の骨や軟組織には当然血管や神経が張りめぐって栄養を供給されています。
なかには毛細血管ばかりではなく、動脈や太い神経がある部分があり、その存在は、平面的なレントゲン写真では十分な判別は難しいとされています。
もし動脈や太い神経を手術で損傷すると、大出血や知覚麻痺を引き起こす可能性があります。

インプラント治療ではある程度、骨に土台を埋め込む必要があるため、前もってインプラントを立てる部分のCT撮影を行い、3次元的な画像を観察しておくことで、動脈や太い神経があるかどうか、また骨の形はどうかを調べることができ、手術の成功率、安全性が高まります。
また骨の足りない部分を知っておくことで、安全かつ効果的に骨造成(骨が足りないところに骨を増やすこと)を行うことができます。
術後にCT撮影をすれば、手術の結果を検証することもできます。

このようにCT撮影を手術前に行うことは手術時のリスクを回避する上でとても有用です。言い換えれば、CT撮影をしないでインプラント手術を受けると術中、術後のリスクが高まると言えるでしょう。



インプラント治療で気をつけることその2 〜インプラントのリスクファクター〜

インプラントの成功率は100%ではありません。
そもそもインプラント治療の成功とは、なんでしょう?
1998年に行われたトロント会議でインプラントの成功基準が示され、現在も通用しています。
1. インプラントは、患者と歯科医師の両者が満足する機能的、審美的な上部構造を有している
2. インプラントに起因する痛み、不快感、知覚の変化、感染の兆候などがない
3. 臨床的に検査するとき、個々の連結されていないインプラントは動揺しない
4. 機能開始1年以降の経年的な1年ごとの垂直的骨吸収は平均0.2mm以下である
というものです。

また、インプラントの成功に関わる要因としては、全身状態、局所状態、精神状態、治療に対する協力、喫煙の有無、歯ぎしりや食いしばりの有無、費用負担の承諾など多岐にわたっています。
具体的に例を挙げると、骨粗しょう症のお薬が、インプラント周囲の骨の再生を阻害する可能性があることや、喫煙が毛細血管の血流を悪くしてインプラント周囲の環境を悪化させることがわかっています。
高血圧、糖尿病は本来禁忌症ですが、内科的治療でコントロールすることにより治療が可能となります。



インプラント治療で気をつけることその1 「装着して終わりではありません」

インプラントでいつまでも自分の歯のように噛んでいられるためには、自分自身でインプラント周囲の歯磨きを普通の歯よりも念入りに行って、歯垢(細菌のかたまり)をインプラント周囲に寄せ付けないようにすることと、定期的にインプラントを装着した歯科医院に通って、インプラントの状態をチェックしてもらう必要があります。
なぜかというと、インプラントには歯根膜という歯のクッションに相当するものがないので、細菌に対する抵抗力が働きにくく、また異常にかかる力に弱いからです。
インプラントは骨と強固にくっつきますが、インプラント周囲に炎症が起きると骨とインプラントとの結合が失われる場合があり、症状が進むとインプラントが抜け落ちてしまいます。

インプラントを入れる歯科医院を選ぶ基準として大切なのは、入れた後もしっかりメンテナンスをしてくれるかどうかです。インプラントを植えたらそれで終り、後はどうなっても知りません、というのでは困ります。
術後の不都合が起きてインプラントを除去して植え直しをしなければならない場合も、ないとは言えません。
いつまでもインプラントでおいしく物をかむために、インプラントの取り扱いに細心の注意を払い、定期的なチェックを受けてください。



歯科用インプラント 使いまわし疑惑に思う

歯科用口腔インプラントが一般的に認知されてきていますが、今年1月に某歯科医師が、患者様から除去したインプラントを他の患者様に使いまわすという信じられない疑惑が報道されました。

今回はインプラントを手がける歯科医師の一人として、意見を述べたいと思います。
普段患者様には、あなたにとってのインプラント選択のメリットや、インプラントにすることで失った自信をどれだけ回復できるか等についてお話していますが、そうした患者様にとっての利益は、歯科医師が当然守るべきモラルを全うした上でのことです。
一人でもこのような患者様を軽視したモラルの低い歯科医師がいたということは許しがたいことです。
この行為は患者様のインプラントに対するイメージを著しく落とし、まじめにインプラントに取り組む私たち大勢の歯科医師の信用を汚しました。
とても残念なことです。

これまで一般の方々にはインプラントのメリットや成功率の高さばかりが強調されて宣伝されており、考慮しなければいけない点や失敗例についてはあまり公表されない傾向にありました。
そういったインプラントのデメリットの部分も公表して皆様に知っていただき、理解した上でインプラントという選択枝を考えていただきたいと思います。



治したはずの歯が痛くなる!? ―感染根管治療について―

一度歯の根の治療を終えて詰め物やかぶせ物をした歯がしばらくしてから歯が浮くように痛みだしたり、根の先のほうの歯肉が腫れて膿んできたり、ということはときどき起こります。
これは根の先の組織に炎症がおこり、場合によっては膿がたまって出て行くところがないので圧力が高まり、歯が浮いたような感じになったりズンズンと拍動性の激痛を感じたりするものです。
エックス線ではたいてい根の治療がしてあって根の先の骨が溶けているので判別できます。
こうなると、放っておいて自然に治ることはありませんので、治療法の第一選択として、古い根の中の充填剤を除去して根の先の炎症が治るのを待ってから再び根の中の充填剤を充填しなおす、感染根管治療をいう処置を施します。

治療済みの根の先に炎症が起こる原因は様々ですが、そのひとつは、根の神経の空洞(歯髄腔)が複雑な形をしているために根の治療で歯髄をすべて除去しきれずにその部分が腐敗、化膿するものです。
根の神経の穴はときどき途中で枝分かれや湾曲、板状になっていたりと、根管治療がとても困難な場合があるのです。
根の治療は根の入り口しか直視できないので、基本的に手探りで進めていくことになります。

私たち歯科医師は、最近ではマイクロスコープ、ニッケルチタン製の針(ファイル)、電気的根管長測定器(エンドメーター)、超音波治療器、根管内細菌培養、レーザー治療器、高周波治療器、エンジンを用いた根管拡大・垂直加圧根管充填システムなど、有用な新しい技術があればそれを取り入れながら、より信頼性が向上するよう日々努力して治療を行っています。



歯科から食育の発信をB −理想的なダイエット?−

とかく悪者にされがちな体脂肪ですが、その働きは、
・ 飢餓に備えたエネルギー源
・ 体温の維持
・ 正常なホルモンの働きを保つ
・ 皮膚に潤いを与える
・ 衝撃から体を守る
・ 滑らかなボディラインを形作る
など、生きていくうえで必要なものですが、過剰に蓄積されると、生活習慣病などさまざまな病気や不調を引き起こします。
しかし、誤った食事制限によって体脂肪からではなく筋肉や骨からカロリーが動員されると、栄養失調や骨折、生理不順、不定愁訴など、体の不調が起こり、時には命にもかかわります。

ではどうすれば健康的に体脂肪を減らすことができるのでしょうか?
・ カロリーの過剰摂取を避ける、炭水化物を多くとり、脂質を少なくする
・ ビタミン、ミネラルなどの副栄養素を十分にとる(サプリメントでも補給可能)
・ 筋肉量を増やして基礎代謝を増やす(基礎代謝は、消費カロリーの60%を占めるといわれています)

以上のことを考えながら、理想的なダイエットを行いましょう!



PMTCについて −歯科衛生士の手による歯のていねいなクリーニング−

虫歯や歯周病の原因は、プラークと呼ばれる細菌の塊です。
細菌は、自分が作り出すネバネバした物質で膜を作り、その中で増殖しながら歯の表面にしっかり定着しています。
この状態をバイオフィルムといいますが、その特徴は、粘着性の強さと増殖する菌の力で薬剤が膜を通過しないことです。
プラークも、歯ブラシだけでは落としきれず、抗菌剤だけで除去することもできません。

そこで歯の表面のバイオフィルムであるプラークを完全に落とす目的で開発されたのが「PMTC」です。
歯や歯肉を傷つけない特殊な器具で一定の方式で行うものなので、特別なトレーニングや専用の器具と研磨剤が必要なのです。

では1度PMTCを受ければ、それで安心かといえばそうではありません。
お口の中の細菌は数を減らすことはできても完全になくすることはできないので、時間がたてばまたプラークは成長していきます。
そこでご家庭での毎日の歯磨きでプラークの成長を遅らせ、定期的なPMTCでプラークを完全に落とす。
この繰り返しが、お口を健康に保つ秘訣なのです。



歯科から食育の発信をA−日本人は太りやすい?−

世の中には、同じものを食べても太りやすい人と、太りにくい人がいます。
これは倹約遺伝子を持っているかどうかが関係しています。
倹約遺伝子とは、摂取したカロリーをできるだけ節約して使い、効率よく蓄積することを促進する遺伝子で、脂肪の分解や熱の産生が起こりにくくなります。

脂肪細胞にあるβ3アドレナリン受容体は、脳から送られる「脂肪を燃焼せよ」という命令を脂肪細胞に伝達するものですが、倹約遺伝子ではこの受容体に異常のあるため、うまく伝わらないのです。
倹約遺伝子があると、1日の基礎代謝量が普通の人より200キロカロリー少ないといわれています。
日本人は倹約遺伝子を持っている人約30%いるといわれています。
ちなみにアメリカ人は約10%です。

また日本人は古くから消化されづらい精製度の低い米を主食とする食生活を送ってきたため、血糖値の上昇、すい臓からのインスリンの分泌も本来ゆっくりですが、代謝の早い加工食品、軟食、欧米食をとると、急激な血糖値の上昇がすい臓(インスリン分泌)の働きを弱め、糖尿病を発症しやすいといわれています。

歯周病と糖尿病には正の相関関係があるとも指摘されており、お口の健康や日々の食事内容、運動量にも気を使って糖尿病を予防しましょう。



より安心、安全なインプラントを目指して−水平的歯槽骨延長術について−

インプラントを応用するにあたり、骨が薄くてインプラントを埋入するスペースの確保が難しい場合の新しい対処法として、水平的歯槽骨延長術があります。

水平的歯槽骨延長術とは、顎骨に切れ目を入れて、チタン製のスクリューとメッシュプレートでできた特殊な装置で少しずつ骨片を外側に移動させ、内側に新しく骨を増生させる手術です。
この方法の特徴として、
・骨移植を必要とせず、骨の水平方向の延長により骨が形成されます。
・軟組織(歯肉)も同時に増大することができます。
・骨補填部の歯肉の閉鎖のための減張切開などの軟組織の問題が少なくなります。
・GBR(外側から骨造成を行う)や骨移植と違って、延長量のコントロールが可能です。ちなみにGBRや骨移植だと造成量の20〜60%は吸収するといわれています。
・骨硬化はGBRよりも早期に起こり、約3ヶ月で延長器除去と同時にインプラント植立が可能です。
・人工的な材料(骨補填材)を使う必要がありません。

これにより、手術部位を増やす必要性、骨補填材の残留や抗原性、安全性のリスクがなくなり、より安全なインプラント埋入が可能になります。



歯科からも食育の発信を

私たち歯科医師は、お口の専門家として、歯の治療をするだけでなく、正しい食の知識や健康情報についても患者様に情報を提供して、啓蒙していく必要があると思います。
平成17年7月15日に、日本で食育基本法が施行されました。これは国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことができるよう、食育を総合的かつ計画的に推進することを目的とした法律です。
罰則や強制力はありませんが、内閣府、食品安全委員会、文部科学省、厚生労働省の各行政では、食育を増進するためいろいろな取り組みを進めています。

現在の食にまつわる環境には多くの問題がありますが、そのひとつは6つの「こ」食だといわれています。
・ 個食・・・個々食:家族それぞれが、好きなものだけを食べる
・ 固食・・・固定食:いつも決まったものしか食べない
・ 子食・・・子供だけ食:子供たちだけで食事をする
・ 孤食・・・孤独食:一人きりで食事をする
・ 小食・・・少量食:食べる量が少ない、食欲がない
・ 粉食・・・粉主食:粉を使った主食(パン、パスタ、麺)を好んで食べる

「こ」食化によって、朝食を食べない若者、子供の急増による集中力の低下や発育への悪影響、家族そろって食べられない現状によるコミュニケーション不足や家庭内暴力、家庭の味を知らないといった悪影響が出ています。



アメリカでのホワイトニングの潮流

アメリカ歯科医会(ADA)は、ホワイトニングをコスメティックと位置付けました。
それは歯科医が管理しなくてもホワイトニングを成功させることができるからです。

アメリカ食品医薬局(FDA)は、ホワイトニング剤の主成分である過酸化水素水の配合率を定め、その後各メーカーからホームホワイトニング剤や、一般の店頭で販売が可能な、貼るだけでホワイトニングできる「ストリップス」タイプが開発され、ホワイトニング市場は拡大を続けています。
各メーカーは効果の保証を前面に打ち出しており、成分においては医院用と大差はありません。
問題点としては、購入が自由なので「過剰な使用による痛み」や「新製品を追いかける浪費」などの管理上の問題が発生する場合があります。

ではここでホワイトニングの理論を説明します。
ホワイトニングジェルは、歯の表面のエナメル質に入り込んだ色素沈着を取り除くと同時に、エナメル質の表面を変化させ、表面に当たる光を乱反射させて白く見えるようにします。
しかし急激な変化を求めると痛みを伴う可能性が高くなるので、ゆっくりと時間をかける必要があります。
そして大事なことですが、ホワイトニングは中止すると元の歯の色に戻る性質があるので、維持するためには持続的または定期的にホワイトニング剤を使用することが必要です。
つまりお化粧のように美の表現ができる重要なアイテムとして通常的に使用するものなのです。



新型インフルエンザの予防について

歯科医院の患者様向けに、各方面から予防方法についての情報が発信されています。
北海道歯科医師会からは、次のような案内が来ました。
1. 発熱、咳などの症状がある方、10日以内に海外から帰国された方は事前に申し出てください。
2. 咳をしている方は咳エチケットを守ってください。
3. 手洗い、うがい、マスクの着用を励行しましょう。
4. 感染を心配される方は、最寄りの保健所または発熱相談センターへご相談ください。(旭川は旭川保健所 Tel: 0166-25-6365)

ここでいう咳エチケットとは、次のようなことです。
・ 咳やくしゃみは口を覆ってすること
・ マスク・手洗い、うがいを励行すること
・ 鼻をかんだらティッシュはゴミ箱に捨て、手を洗うこと

国立感染症研究所感染症情報センターによると、もしお住まいの地域で患者が発生した場合は
・ 発生地域などに関する情報に耳を傾ける
・ 可能な限り人混みを避け、手洗いを心がける
ことが必要で、もし自分がかかったかなと思ったら
・ 手洗い、うがい、マスクを行う
・ できるだけ他の人とは会わないようにして受診する
・ 周囲、特にハイリスク者にうつしてしまわないように心がける
・ 2週間程度の食料や日用品の備蓄をする
ことを勧めています。



最近の分子生物学の歯科的トピック

先日東京で普段あまり聞く機会のない分子生物学の講義を受けてきました。
興味深い内容だったので皆さんにお知らせしようと思います。

最近「食事をするときに、よく噛んで食べましょう」と、よく耳にします。
よく噛むことには、脳を活性化させる、消化を良くする、満腹中枢を刺激してダイエットに効果的、歯並びや顎の成長に良い、等の効果があるとされています。
子供用の噛む回数を測定する装置も巷で注目されています。

そのほか、あまり噛まないでいると狂牛病に関連する遺伝子の活性が上がるとか、よく噛むことで唾液の性状が変わり、発癌物質に対する活性抑制効果が高まったり健康余命が延びたりする(健康で長生きする)そうです。

次に骨についてのお話です。
全身の骨の生化学的な働きとして、生命維持にとても重要な血中カルシウムイオン濃度を一定に保つのが本来の意義であるそうです。
骨を溶かす破骨細胞と骨を作る骨芽細胞はお互い敵同士のようでいて実はそうではなく、お互いに協力して血中カルシウム濃度を調節しているのです。
ただ、炎症がある部分では破骨細胞が多くなり、骨吸収が進むそうです。
また、遺伝子欠損により特定の部分の骨が先天的に欠如することがわかっており、遺伝子情報は骨形成に深くかかわっています。



フッ素は安全ですか

最近新聞などで、「北海道健康づくり歯科保健8020推進条例」に関連して、「フッ素は安全性が確立していないので危険だ」という趣旨の記事が何度か掲載されました。
患者様も混乱されており当院にも何度か問い合わせがありましたので、フッ素を使った虫歯予防の安全性について説明しようと思います。

先日旭川歯科医師会のフッ素の安全性についての説明会がありましたので参加してきました。

虫歯予防におけるフッ素利用には、世界では、
@水道水やA食塩へのフッ素添加、Bフッ素配合の歯磨き剤、Cフッ素洗口、Dフッ素歯面塗布、Eフッ素錠剤などがありますが、日本ではB〜Dが行われています。

水道水や食塩へのフッ素添加が行われている地域では日常的なフッ素摂取があるのでフッ素の取りすぎに注意する必要がある場合もありますが、日本では積極的なフッ素利用が推奨されます。

フッ素の虫歯予防効果はWHO(世界保健機関)が800以上のヒト対照群研究により認めています。

フッ素の適正使用による斑状歯、骨肉腫、ダウン症、腰部骨折、アレルギーの発生については全て専門機関で否定されています。

急性中毒量は4〜5歳児の中でも軽いほうである体重15sの子供で30r(体重1sあたり2r)ですが、週1回フッ素洗口によるフッ素残留量は1r、たとえ全部飲んでしまっても6.3rで、急性中毒にはなりません。

総合して考えると、フッ素利用は虫歯予防に有効で安全だと言えます。



歯科における救命救急

先日、旭川歯科医師会主催の救命救急トレーニング講習会を受講してきましたので、概要をお伝えいたします。

皆さんも、身内の方の救急時等にご参考になさってください。 歯科において救命救急処置が必要になる場合として、

・ 異物を誤って気管に吸い込む
・ アナフィラキシーショック
・ 患者様の極度の不安や痛みによるショック
・ 患者様の持病の発作
・ 過換気症候群
・ 麻酔薬の静脈への流入

などが考えられます。

意識のある場合は安静位をとらせ、頻回の呼びかけ、誤嚥が疑われるときは患者様に伝えてから5回のハイムリック法、そのあと背部叩打法を試みます。効果なく意識が消失してしまったらできるだけ早く1次救命処置に移行します。

・ 意識の有無を確認し、反応なければ周りの人を集めます
・ 周囲の人に救急車、AEDの用意を頼みます
・ 頭を後ろに反らせて気道確保し、呼吸の有無を見て、聞いて、感じるか、頚動脈を触知するかチェックします
・ 呼吸も脈もなければ2回の人工呼吸をしますが、無理なら省略します。
・ 服をはがし、両乳首の中間部を手のひらで4〜5センチ沈み込む強さで胸部圧迫します。1分間に100回のテンポで30回おきに可能なら人工呼吸をします。異物の誤嚥があれば、人工呼吸前に口の中を調べ、異物を確認できたら除去します。
・ AEDがあれば装着し、指示に従います。救急車が到着するか、患者様が払いのけるしぐさをするまで胸部圧迫と人工呼吸を続けます。



安心・安全なインプラント治療を求めて 〜歯科用コーンビームCTとは〜

インプラント治療において、埋入予定部分の骨の幅、形、量、質や骨の吸収状態、周囲組織との位置関係や距離を把握しておくことはとても有用です。

歯科用コーンビームCTを使うと、骨密度の定量測定はできませんが、骨梁構造を正確に観察でき、距離を高い精度で測定できます。
また金属のアーチファクトもおこりにくいので、冠などがお口にあっても影響が少ないです。
撮影範囲は顎顔面領域のみです。

これまでは医科用CTが診断に主に用いられてきましたが、最近は各メーカーから製品が販売されており、その有用性が指摘されています。

医科用CTと比較すると、利点としては

・ 解像度が高い
・ 撮影領域の小さい装置では被ばく線量が少ないことがある
・ 撮影時間が短い
・ 金属によるアーチファクトが少ない

また考慮する必要のある点としては

・ 撮影範囲が狭い
・ 軟組織の描出能力が低い
・ CT値に医科用CTのような定量性がない

などが挙げられます。



抜髄後の歯の変色の治療について

先日メールで前歯の抜髄後の変色について相談を受けましたので、私なりの考えを書こうと思います。
前歯に限らず、歯の神経をとると確かに歯がもろく欠けたり割れやすくなったり、茶色く変色することはしばしば見られます。
こういう場合は、当院では次の選択肢を示します。

1. セラミックラミネートベニア
歯の表側を1.5mmくらいの厚みで削って、表側からセラミックのシェルを接着して治します。
セラミックは長期間たってもほとんど変色しません。
金属を使わないので透明感があり、見た目が自然です。

2. セラミッククラウン(金属裏層タイプ、オールセラミックタイプ)
歯の大部分がすでに修復されている場合は、全体を包むクラウンを選択します。
金属裏層タイプは、透明感はあまりありませんが強度が高いです。

オールセラミックタイプは、透明感があり見た目が自然ですが、金属裏層タイプに比べて壊れやすいです。
ジルコニアという白色の高強度材料で裏層すると、強度が高くなりオールセラミックブリッジも可能になります。

3. ホワイトニング
歯の神経を抜いた後の変色の場合は、全部元通りの色にするのはほぼ不可能で、個人差がありますが多少変色が薄くなる程度だと思います。
少しも歯を削りたくない場合に選択します。



歯科におけるアンチエイジングの可能性

先日札幌でおこなわれた北日本口腔インプラント研究会主催の口腔インプラント臨床コロキウムで、順天堂大学大学院加齢制御医学講座准教授の青木晃先生のアンチエイジングに関する興味深い講演を聞いてきましたのでご報告いたします。

そもそもアンチ〜という言葉は日本人にはなじまないらしく、エイジングコントロール、エイジマネジメントなどの呼び名が使われるようになってきました。
アンチエイジング医療という定義も理解しづらいので、簡単に言うと、スキー冒険家三浦雄一郎さんを70歳にしてエベレストに登頂させる医療だそうです。
三浦さんはメタボ状態から一転、アンチエイジング医療や指導を受け、自身も相当なトレーニングを積まれて偉業を達成しました。

また、アンチエイジングは、よくありがちな食事制限や運動療法などから入るのではなく、食育、メタボ改善食事メニューの提案、クッキングスクール、メタボ予防エクササイズなどを受けることで楽しみながら生活の質(QOL)を上げることを勧めています。

一般人がすぐ実践できるアンチエイジングは、重力を感じる生活をする(文明の利器に頼らず、なるべく自分の足で歩く)こと、歳をとっても人の目を意識して身だしなみに気を使うことだそうです(女性のほうが寿命が長いのは、より人の目を意識することも関係しているようです)。

少しづつでもいいですから自身の体力を高めて健康で長生きしたいものですね!



「Mパタカラ」を使った表情筋機能訓練の効果

あなたは、朝起きた時、次のような症状がありませんか。

・口が渇いている
・口の中、特にのどがネバネバする
・のどがいがらっぽく、痰が絡む
・口内炎ができやすい
・ちゃんと磨いているのに歯肉炎や虫歯ができやすい

思い当たる人はもしかしたら寝ている間に口で呼吸しているかもしれません。

先日旭川で「Mパタカラ」という唇に挟んで使う装置についてのセミナーがあり、参加してきました。
これは、唇が開きっぱなしであったり舌の位置が下にありすぎることによる口腔乾燥、のどの炎症、口臭や摂食嚥下障害などの治療装置です。
パタカラを使うと口の周りの筋肉を中心に顔全体の筋肉を鍛え、脳血流を増加させ、脳梗塞や顔面神経麻痺のリハビリ効果が期待できます。
また首周りのたるみをとることによる小顔効果や、小児矯正では歯並びを整える効果も報告されています。

唇の力の強化で、快適な日常生活をおくりましょう。



歯を抜かない床矯正・歯列矯正治療

先日東京で興味深い床矯正セミナーを受講してきましたので、皆様にお伝えしようと思います。

この治療法の特徴は次のようなものです。
・基本的に歯を抜いて矯正はしません。床装置によって顎を広げたり歯を傾斜させたりして歯の入るスペースを作ります。
・4歳以上であれば治療は可能です。早ければ早いほど治療期間を短くできます。
・ほおづえ、指しゃぶり、口呼吸、舌の悪習癖などに問題がある場合はトレーニングで治します。

診査では、オクルーザーという機械を使い、噛み合わせの力、前後左右の咬合バランスをみます。
床装置を用いた治療のほか、前歯で噛む訓練、舌や下顎の位置を正しくする訓練、口がいつも開いている場合は口を閉じる訓練、噛む力が偏っていたり弱い場合は噛み合わせの訓練をします。
装置はずっとつけている必要はありません。

学校や職場で支障のある場合は装置をはずしましょう。
1日12時間くらいつけていれば治療は可能です。
簡単な矯正の場合1つの装置で治ることもありますが、年齢が進むと治療期間が長くかかり、装置も多数必要になります。
なるべく9歳から11歳に犬歯が生えかわる前に矯正を始めてください。



正しいイオン飲料水の飲み方

イオン飲料水(スポーツドリンク)は、カリウムやナトリウムなどのミネラルが含まれ、吸収されやすく、激しい運動や下痢などで体の水分が急激に奪われた時の回復に効果的です。

しかし、問題なのは、砂糖が多く入っており、pH3.6〜4.6という酸性度が高いことです。
ヒトの歯はだいたいpH5.4で溶け出すといわれているので、イオン飲料水をいつも飲んでいるのはよくありません。

イオン飲料水の正しい飲み方を知った上で上手に利用しましょう。

・なるべく水で薄めて薄味に慣らせましょう。マラソンなどで給水に出されるスポーツ飲料はたいてい水で薄めてあるので、私にとって普通のイオン飲料はすごく濃く砂糖水のように感じます。
・イオン飲料水を水代わりに飲まないようにしましょう。
・おう吐や下痢の時には飲んでも、回復したらやめましょう。
・乳児に与える時は、寝る前、寝ながらイオン飲料水を与えないでください。
・成分表示を見て、なるべく砂糖や果糖入りのものは避けましょう。



摂食・嚥下リハビリテーションとは

お口から普通の食事をとることができる方は幸せです。

体に障害や麻痺などがあったり高齢者で、上手に食べ物を飲み込んだりできない方、つまり飲み込み反射がうまく起こらず誤嚥(食べ物が気管に入る)したりむせてしまう方、普通の形状の食事が摂取困難なためにミキサーで砕いたり、とろみをつけたりする必要のある方、まったく口から食べることができず経管栄養、点滴などで栄養を摂取している方もいらっしゃいます。
そうした方々に、より普通に近い食事ができるようにさまざまなリハビリテーションやトレーニング、口腔ケアを行い、低下した機能を回復させたり、別な方法で食べる方法を身につけさせたり、周囲の人たちに理解してもらうことで不利な状況を減らしたり、患者様本人への心のケアを行うことを目的としています。

関係する医療関係者の職種は幅広く、医師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、看護師、看護助手、栄養士、管理栄養士、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士、放射線技師、ソーシャルワーカーの方々が治療に関わっています。

旭川歯科医師会でも、食べること、飲み込むことに障害のある方の診断と治療、リハビリ指導を行っており、具体的には飲込みなどをスムーズにするための訓練、食事の形や介助についてのアドバイス、お口の清掃や要治療歯の治療を行っています。



歯医者さんが虫歯を見つけたらどうするか

まず、ごく軽い虫歯、すなわち表面が白く濁っていたり、奥歯の溝の部分がちょっと茶色くなっているけど針が刺さるほどではない、虫歯診断用レーザー光線をあててもあまり反応がなかった場合(歯が虫歯で溶かされてやわらかくなっている場合ブーッと音が鳴ります、音が高く、デジタル数値が高いほど要治療歯という判定となります)は、シーラントでフタをするか、食生活の改善を指示してフッ素をもっと使うように勧めます。

次の段階、歯の表面が濁って、奥の方に虫歯があると思われる時や、奥歯の溝の茶色い部分がキャラメルのように針の先がくっつくような感じがする時で、虫歯診断用レーザー光線を当てるとちょっと高い音と数値が出た時は、できればレントゲン写真を撮ってみて、歯が柔らかくなっている部分があれば、なるべく歯を削らないように注意しながら虫歯を除去して詰め物をします。
詰め物は、歯に良く接着するプラスチックと、フッ素入りで虫歯予防効果のあるセメントとを使い分けます。

もっと虫歯の大きい場合、たとえばレントゲン写真で見て虫歯が歯の神経まで行っていそうな時、やわらかい歯の部分を除去しているときに歯の神経まで外に出てきた時、また中から膿が出てきた時、黙っていても痛みがある時などは止むを得ず歯の神経を除去することがあります。
歯の神経の穴は実はとても複雑で、完全にきれいに掃除するのは困難ですし、後に根の先の病気になることがあります。



口呼吸の害について

最近、口をぽかんと開けているお子さんを見る機会が増えました。
鼻で呼吸せずお口で呼吸することを口呼吸といい、様々な害があります。

鼻で呼吸していれば、空気中の汚染物質を吸い込んでも鼻の中の毛や粘膜がガードしてくれて、悪い物質が体内に入り込まないようになっていますが、お口で呼吸していると、乾燥した空気やほこり、病原菌が直接喉に入り込んだり喉が乾燥したりして喉を痛め、せきや熱の出る風邪やぜんそくをひきやすくなります。
また、お口が乾燥することでつばのもつ殺菌力、洗浄力が弱まり、口臭、虫歯、歯肉炎、口内炎、歯牙の着色、摂食嚥下障害、いびきをひきおこします。
また口呼吸をしていると舌の異常な動きにより歯並びが悪くなるとも言われています。

ではなぜ口で呼吸してしまうのでしょうか?
考えられる理由はいくつかあります。
ひとつは赤ちゃんの時に普通の哺乳瓶でミルクを与えていると簡単にミルクが飲めるために唇の力がうまく発達しなかったため。
また離乳食前期におもゆをスプーンで丸呑みさせていると赤ちゃんは咀嚼できずに腸が消化不良をおこし、苦しいのでうつぶせ寝になり、鼻がふさがれやすくなって口で呼吸するようになるとも言われています。

鼻づまりや鼻水がかみ合わせの治療で治る場合もあるそうです。


メタボリックシンドロームと歯周病の関係

皆さんご存じのメタボリックシンドロームですが、その診断基準はご存知でしょうか。

手元の資料によると日本では、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上あることに加えて、以下のいずれかの2項目以上が当てはまると確定だそうです。

@ 中性脂肪が150mg/dl以上あるいはHDLコレステロール40mg/dl未満
A 収縮期血圧130mmHg以上あるいは拡張期血圧85mmHg以上
B 空腹時血糖110mg/dl以上

メタボリックシンドロームは動脈硬化の発症、進行を速め、心筋梗塞や脳梗塞などの引き金になるので要注意です。

さて、ではなぜ歯周病と関係があるのでしょうか?

糖尿病と歯周病は相関関係があり、糖尿病により唾液の分泌量が減って歯周病菌が増殖したり、免疫機能や組織修復力が低下して歯周病が発症、進行しやすくなります。
また、歯周病が進むと大量のTNF-αが分泌され、インスリンの効きを悪くして糖尿病を悪化させるといわれています。

肥満症と歯周病については、歯周病などで痛みや咬合障害を伴うようになると完全に食べ物をかみ砕くことなしに飲み込むようになり、満腹中枢への刺激が不十分あるいは遅延することにより食事摂取量が過剰になりやすくなると考えられます。

血圧と歯周病では、血液中に入り込んだ歯周病菌の刺激で血小板が凝集し、これが剥がれて血栓となり、心臓の冠状動脈や脳の血管を塞いで狭心症、心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす可能性があるといわれています。
また一部の降圧剤、抗高脂血症剤により歯肉炎を起こすとの報告もあります。

あなたもお口のケアをきちんと行って、毎日の生活を積極的に楽しんでくださいね。


歯がしみて痛い!それは知覚過敏かもしれません

歯がしみて冷たい飲み物や熱い飲み物が飲めないという方はいらっしゃいませんか?

歯がしみるのは、いくつか考えられる原因があります。 そのうちの一つに知覚過敏があります。

・歯ぐきが退縮して歯の根っこの部分が露出している
・乱暴な歯磨きなどにより歯が削れている
・歯ぎしりや、食いしばりなどにより歯が欠けたり擦り減ったりしている

そのようなときに起こりやすいといわれています。
歯の根の部分または歯の表層が削れて中の部分が露出すると、歯の神経とつながっている象牙細管という非常に細い管が外界と交通し、その中の組織液が動くことにより、痛みとして感じます。

また、その管にはカビなどの菌が入り込みやすく、強い酸により管を広げてより一層しみやすくなってしまうといわれています。
この知覚過敏の治療として当院では以下の方法をとっています。いくつかを併用することもあります。

・炭酸ガスレーザーを当てて痛みを感じにくくする
・知覚過敏抑制剤を塗布することで刺激を伝わりにくくする
・歯が削れていれば、プラスチックなどの詰め物でふさぐ

かなり強い知覚過敏で、上記の方法で症状が一向に良くならなかったり、何もしなくても常に痛みが出てきた場合は、最後の手段として歯の神経組織を取り除くことも考えますが、細菌に対する生体の防衛ラインが歯根の先端まで後退し、歯の変色や強度の低下をおこしてしまう可能性があり、あまりお勧めはしません。


入れ歯の作り替えの時期について

あなたのご自分の入れ歯は、作ってから何年くらいたっていますか?

先日、「入れ歯はどうなったら作り替えたらいいの?」という質問を受けましたので、回答いたします。

入れ歯を製作してから年数がたつと、顎の骨が痩せることにより入れ歯と顎の粘膜の間に隙間ができたり、咬合力などにより入れ歯の歯がすり減ってきます。 また入れ歯の材質が劣化し、徐々に水を吸って着色、変色、ヒビや破折が起こることもあります。

以下のような症状があらわれたときは歯科医院にて検診を受けることをお勧めします。

・入れ歯を作った後でかなり痩せた
・以前に比べて力を入れて噛むと当たって痛い
・食事のたびに入れ歯の裏側に食べ物が入り込む
・口を大きく開けると上の入れ歯が落ちてくる
・下の歯の安定が悪く、食事がしにくい
・入れ歯が黄ばんだり、歯と歯ぐきの間の部分が黒ずんできた
・歯がすり減って溝の部分がなくなってしまった
・入れ歯の一部が欠けてしまい、気になる
・入れ歯のバネがゆるくてカパカパよく外れる
・入れ歯にヒビが入って、噛むたびにきしむ感じがする
・入れ歯のバネがかかっている歯がぐらぐら、または抜けてしまった

当院では前回入れ歯を作ってから1年以上たっている、材質自体の劣化により修理が困難、歯の本数が少なくなったりして入れ歯が適合しない、などの場合は入れ歯の作り直しをお勧めしています。

最近では患者さまのニーズの多様化に伴い、通常の入れ歯に加えて、金属のバネがなく見た目が自然なナイロン義歯、小型のインプラントで動かずしっかり噛めるミニインプラント義歯なども選択肢の一つとなっており喜ばれています。


口臭の原因と予防方法について

あなたは自分や人のお口の臭いが気になったことがありませんか?

お口の臭いには多くの原因があります。例をあげてみましょう。

・緊張や脱水などにより口の中が乾燥している
・舌の表面に舌苔という汚れが付き、細菌が繁殖している
・たくさん虫歯や、進行した歯周病がある
・あまりていねいに歯を磨かず、歯垢や歯石がついている
・たばこを吸っている
・お酒やニンニクなど、臭いの強い飲食物をとった
・胃の調子が悪かったり、げっぷがよく出る

以上の項目で当てはまるものがあるときは、可能なら口臭予防を考えましょう。

具体的には次のことに気をつけましょう。

・脱水にならないよう、よく水やお茶を飲む
・舌ブラシやスクレイパーで舌苔を除去する
・虫歯、歯周病を治療してもらい、自分でもていねいに歯を磨く習慣をつける
・たばこをやめるか本数を減らす
・人に会う前は臭いの強い食事をとらない
・消臭効果のあるタブレットやガム、スプレーなどを使用する

また、起床時、午前11時ころがお口が渇きやすく、細菌も繁殖しやすいため口臭が強くなりやすい時間帯といわれています。注意しましょう。


インプラント治療の利点と欠点

歯がなくなったところを治すには、おもにインプラント、ブリッジ、入れ歯の3種類があり、それぞれに利点や欠点があります。

インプラントの利点として、次のようなものがあります。

・隣の歯を削る必要がありません
・隣の歯の負担過重を増やしません
・自分の歯のようにかめます
・つけはずす必要がありません
・見た目が一番自然で審美的に優れています

欠点としては、次のようなものがあります。

・保険外のため、全額自己負担です
・手術をする必要があります
・通常、冠が入るまでに3カ月以上かかります

ケースバイケースなのですが、欠点を減らす技術としては次のようなものがあります。

・インプラントの即時埋入といって、歯を抜いた部分にその日のうちにインプラントを埋入します
・テンポラリーインプラントという仮のインプラントを通常のインプラントと同時に埋入し、その日のうちに噛めるようにします
・下の前歯の少数歯欠損であれば、その日のうちにインプラント埋入後仮歯を入れることができます。
また歯ぐきを切らないので治りが早いです
・CT撮影により、手術時のリスクを回避したり、低侵襲で最適な場所にインプラントを埋入できます




歯科用虫歯除去液とは 〜その効果とメリット〜

数年前にNHKでも紹介された歯科用虫歯除去液が、最近国内で発売されました。

現在多くの歯科医院でミニマルインターベンション(最小の治療で最大の効果を得ること)に基づいた治療がなされるようになってきました。

歯科用虫歯除去液を使うことで、歯の象牙質の虫歯菌による感染部分だけを柔らかくして除去できます。

この材料を使うメリットは、虫歯部分しか作用しないので、健康な部分を柔らかくすることがなく、必要最小限の歯の切削で済むということと、キーンという音をたてる回転切削器具をほとんど使わなくてもよいということです。

また、つばの吸引なども少なくてよいので、静かな環境で痛みの少ない快適な虫歯治療を受けることができます。

この材料は歯科用材料として厚生労働省の承認を受けており、安全性に関して問題がないことが確認されています。

通常、この材料は比較的軽い虫歯に適用されるべき材料なので、根の治療が必要なほど虫歯が広範囲に及んでいるとき、またすでに痛みを伴う虫歯のときは、麻酔が必要な場合もありますし、この材料を用いるメリットが少ない場合もあります。

またこの材料を用いると保険適用外となり、その後の歯のつめ物も保険がききませんので適用に際しては担当歯科医師とよくご相談ください。




虫歯の早期発見・早期予防 〜レーザーを用いた虫歯発見〜

近年、予防歯科の科学的研究の発展によって、虫歯は早期に発見すれば、必ずしも治療が必要でないことが示されています。

つまり、歯の表面が白く透明性がなくなったり、茶色がかったりしても、すぐに削ったりせず、再び歯の表面を固くすることによって(再石灰化)、歯の詰め物をするよりも、歯を長持ちさせることができるのです。

一度歯を削ると、詰め物の周りから虫歯菌が侵入して再び虫歯になりやすく、虫歯を詰める治療を繰り返すと、そのうち歯の神経の穴まで虫歯が達して、今度は神経を取ることになってしまいます。

そうなると歯の神経の先が膿んだり、歯がもろくなって割れたり、歯が黒く変色したりする可能性が高くなります。

そのような悪循環を断ち切るためには、初期の虫歯の段階でその存在に気付き、定期的に経過を追いながら虫歯の原因となる虫歯菌の活動性を調べたり、誤った食習慣を正したりして虫歯になるリスクを減らしていくことが大切です。

虫歯を早期に発見するのにとても役に立つのは、レーザーによる虫歯発見装置です。

歯に一切の痛みや刺激を加えることなく、音と数値で虫歯の存在の可能性を教えてくれますので、安心して診査を受けることができます。




全身の病気とお口の中の関係A 〜歯周病と糖尿病について〜

今年7月に東京、大阪で「なくそう減らそう糖尿病、なくそう減らそう歯周病」シンポジウムが行われ、貴重な情報が発信されましたので要約してお知らせいたします。

近年、歯周病と糖尿病にさまざまな相互関係があることがわかってきました。
重度の歯周病になると、炎症によりブドウ糖の代謝が悪くなったり血糖コントロールが悪くなります。
糖尿病により免疫機能が落ち、歯周病菌感染に対する抵抗力が低下してさらに歯周病も進行してしまいます。
また、歯周病をよくすれば、糖尿病治療のための薬剤が少なくて済むことがわかってきました。

歯周病と糖尿病は似ている点がたくさんあります。

・発症しやすいのは35歳くらいからです

・毛細血管に異常が生じます

・生涯コントロールし続ける必要があるので、定期的に医療機関に行って、状態をチェックすることが大切です

・自己管理が欠かせません

歯周病の原因は歯の表面についた細菌の塊です。口の中には約400種類の細菌がいて、そのうち約1割が歯周病を起こすといわれています。
歯周病菌は夜寝ている間に一気に増えるので、歯周病予防のためには寝る前に徹底的に時間をかけて磨くことが必要です。
口臭の9割は歯周病が原因で、膿ではなく、歯周病菌自体からでる臭いです。




インプラント矯正 〜より効果的な矯正治療を達成するために〜

先日インプラント矯正の実習セミナーを受講して最新情報を入手してきましたのでお伝えいたします。

現在アメリカの矯正歯科学会では、ミニインプラントを用いた矯正治療が脚光を浴びており、どの大学もインプラント矯正を教育に入れ始めているそうです。

インプラント矯正の適応症は、叢生、両顎前突、上顎前突、下顎前突、開咬、臼歯の圧下、過蓋咬合、前歯の圧下と多岐にわたり、すなわちほとんどの症例の患者様に使える固定源といえます。

従来であれば歯を抜かなければいけなかったものが抜かずに治療できたり、外科手術を必要とする著しい不正咬合であっても矯正単独でのかみ合わせの改善が可能になってきています。

矯正力を働かせるためには必ず反作用がおこり、反作用を抑えながらゆっくりと治療をするために矯正期間も長くなりがちでした。

しかしインプラント矯正の誕生により、矯正治療期間の短縮が可能になります。

ミニインプラント植立手術は一般のインプラントとは違い、少量の浅い麻酔をするだけでよいので、あとで痛みが出たり大きく腫れたりということはあまりありません。




安全、確実なインプラント手術 〜粉末積層顎骨モデルとは〜

インプラントの適応症の拡大に伴い、本来は骨の厚みが薄くてインプラントをあきらめなければいけなかった場合にも植立することができるようになりました。

しかし、患者様によっては顎の骨が複雑に吸収していたり、骨の表面に沿って動脈が走行していたりと、手術が困難な場合があります。
場合によっては手術中に発見することもあります。

以前「インプラント術前3D-CT画像シュミレーション」についてはこの場で説明しました。
つまり撮影されたCTデータを3次元デジタル画像に変換して、顎の骨の様々な方向の断面画像を作成、それをもとに口腔インプラント手術のための正確な診査、診断をおこなう、というものです。

今度はそれをさらに進化させ、CT画像から患者様の顎の骨のモデル(粉末積層顎骨モデル)をつくることで、より安全で確実性の高いインプラント手術が行えるようになりました。

特に上顎のサイナスリフト症例(上顎洞という骨の空洞の粘膜を持ち上げて骨補填材を敷き詰めてインプラントを植立する骨の高さ、幅を確保すること)でとても役立ちます。

また骨の欠損している部分も視覚的に術前によりわかりやすく把握できるので、骨補填の場所や量が予測しやすく、患者様にもモデルを使ってわかりやすく説明することができます。




全身の病気とお口の中の関係@ 〜誤嚥性肺炎について〜

以前にもチラッと説明したのですが、全身に起こる病気の中には虫歯や歯周病などの歯科疾患が関わっている場合があります。
全身疾患が歯周病を悪化させ、悪循環を繰り返すこともあり、注意が必要です。

今回は誤嚥性肺炎について説明します。

口の中のケアが悪く、歯や歯ぐきに食べ物くずや歯垢がついたままになっていると、誤って飲み込み歯垢中の細菌が気管から肺に取り込まれ肺炎を起こす可能性が高くなります。

咳をする力が弱かったり、反射が低下している高齢者に起こりやすいです。
また薬をたくさん飲んでいる高齢者では副作用で口も渇きやすく、飲み込みづらくなります。
水分を十分にとり、うがいを頻繁にしましょう。

日々のお口の清掃には、歯ブラシのほか、スポンジ歯ブラシ、指にはめるタイプのスポンジ歯ブラシ、舌ブラシなどがあり、状況により使い分けるとよいでしょう。

ガーゼや綿棒ではプラーク除去効果が低いようです。
歯ブラシは、毛先がひろがったらこまめに取り替えてください。
舌苔といわれる舌の表面の汚れは口臭の主な原因ですから、ガーゼでもいいのですこしずつふき取りましょう。

介助の手を借りずに食事を取るには最低60度の角度が必要とされていますが、そこまで起こせない場合は高めの枕をすることで顎を下向きにさせることが大事です。

また、細菌は汚れた入れ歯にも多く付着するので、肺炎を防ぐためには入れ歯の手入れも重要です。
できれば毎食後とりはずして、入れ歯用ブラシで磨きます。

3日から1週間に一度は洗浄剤に漬けて汚れをブラシで取り除き、水洗いしてください。
歯磨き粉は、入れ歯をすり減らすのでなにもつけないでください。




入れ歯でおいしく食べよう

入れ歯でおいしく食べよう 入れ歯をつけていらっしゃる皆さんは、おいしくご飯を食べていますか。
先日義歯の勉強会を受けてきましたので、その中から、皆さんに役に立ちそうな話題をお話しします。

歯がなくなってお口の周りの筋肉が衰えると、唇がだんだんへの字になってきます。
下の入れ歯がカパカパ外れないようにするには、お口の体操をして「しまりのある口元」にしましょう。
笑顔も美しくなりますよ。

体操の方法は、簡単です。 唇を前に突き出し、「チュー」と声に出して言いましょう。
恥ずかしがってはいけません。

次に、唇を横に引いて、「イー」と声に出して言いましょう。
これを繰り返します。
これを毎日続けることによってお口周りの筋肉が鍛えられ、笑顔が素敵になるはずです。

また、もうひとつ、皆さんは夜寝るとき、入れ歯をはずして寝ていますか?つけて寝ていますか?
ぜひ試していただきたいのは、上の入れ歯だけつけたまま寝てみましょう。

上の入れ歯は、お口の中の空洞の形を保ち、呼吸しやすくします。
また、口で呼吸をしても適度な湿度を保たせることができるため、口が渇くのを防ぎます。
寝ている間に水を飲まないと口が渇いてしょうがない・・・という方は特にお勧めです。

また上の入れ歯をはずした状態だと口元のボリュームがかなりしぼんでしまうので、見慣れない方に見られるとびっくりされてしまいます。
でも上の入れ歯が入っているだけで、唇の張りを保ち、そんなに違和感を感じないはずです。




学校歯科検診で気づいたこと

先日、小学校と中学校の学校歯科検診を行い、生徒たちのお口の中を拝見する機会がありましたので最近の子供たちのお口の中の状態の傾向についてお話いたします。

・顎関節症予備軍が、小学校からもうすでにちらほら見られました。
かみ合わせの悪さは脳の発達にも影響を及ぼします。ほおづえや唇を噛むなどの悪い習慣をなくすことが大切です。
お口をぽかんと開いている子は、唇を閉じる訓練をしたほうがよいでしょう。
かみ合わせの治療や歯列矯正が必要な場合もあるかもしれません。

・子供の口の中について親の関心に差があるようです。時々は口の中を見てあげてください。
年々虫歯が増えている多数歯の虫歯の子に限って、治療されずに放っておかれています。

・ひどく磨けていない人はほとんどいませんでした。
歯磨きは対人関係を良好に保つためにも、とても大切ですね。

・虫歯の治療も大事ですが、なるべく虫歯予防に関心を持ってください。
一度虫歯治療した歯は、虫歯でない歯に比べて再びよりひどい虫歯になる可能性が高く、その悪循環を防ぐには、普段から虫歯のかかりやすさを減らすことが大事です。つまり虫歯予防です。

・虫歯のなりやすさには個人差があり、なりやすさが高い子は、低くするような方法、たとえばフッ素洗口やフッ素塗布、フッ素入り歯磨き粉の使用、誤った食習慣を改善する必要があります。
フッ素洗口を学校で取り入れると虫歯予防効果が高いようです。




顎関節症とは 〜症状・原因・治療法について〜

最近よく顎の関節の違和感を訴える方がいらっしゃいます。

・口をあけるとコリッと音がする
・口を大きく開けると顎の関節が痛い
・口を大きく開けられない
・耳の周りの筋肉が張っていて違和感がある
・かみしめると関節が痛い

など様々な症状があります。
ある程度は体が補正しようとしますが、限度を超えると、顎関節症としての症状が現れてきます。
原因はいろいろ考えられますが、かみ合わせの不調和が関わっていることが多いようです。
具体的な例として、歯列不正、義歯や冠などの補綴物の不調和、咬合異常(かみしめや歯ぎしりなど)による歯のすり減り、ほおづえなどの悪習癖です。

治療は、一般的にはまず問診、かみ合わせのチェックをしてから患者様のお口の型をとってかみ合わせ運動を模型上で再現します。
この時点で大体の原因がわかります。
次にかみ合わせを調整あるいはオクルーザルスプリントという装置を製作してかみ合わせを安定させて顎の周りの筋肉の緊張や痛みを取り除きます。
場合によっては歯並びの矯正や冠を作製する必要があります。




毛髪ミネラル検査とサプリメント 〜自分の健康は自分で守る〜

前回は毛髪検査についてその概要を説明いたしましたが、今回はその有効利用法についてお知らせします。

最近はテレビなどで健康情報がさかんに取り上げられ、健康と食に関する情報が氾濫しています。
健康食品を利用する方が増加し、それとともに健康被害も発生しています。
ここでみなさんに注意していただきたいのは、「自分の健康状態を科学的データで知る」ことと、「科学的根拠にもとづき対処する」ことが必要だということです。

毛髪ミネラル検査は、病気の診断や早期発見のための臨床検査ではなく、病気を予防する身体作りのための検査(一次予防)として利用されており、現在は予防医療や抗加齢医療の最新検査ツールとして注目されています。
検査結果から、体内の有害ミネラルの蓄積度や必須ミネラルの過不足状態がわかり、有害ミネラルの解毒、排出を促すミネラル・ビタミンを含め、必要な栄養素・食品・献立のアドバイスを受けることができます。

また症状の改善をより確実にするためにオーダーサプリメントを利用するという方法もあります。
これは通常の食事では不足する栄養素を補うための食品で、使用目的により、ビタミン・ミネラルなどの基本的な栄養素を中心としたもののほか、デトックス(解毒)、アンチエイジング(抗酸化)、体質改善、ストレスケア、美容やダイエットなど、具体的な目的に合わせて摂取できます。




毛髪ミネラル検査 〜アンチエイジングのために〜

最近、厚生労働省から、「妊婦は胎児への影響を考慮し、金目鯛などの摂取を控えるように」との勧告が発表され、マグロに関しても同様のことを見直す方向だそうです。
これは、食物連鎖で生き残った大きな魚には重金属が蓄積されている可能性があることから、その摂取に対する危険性を喚起しているのです。

ヒトも加齢とともに微量で長期にわたる重金属汚染がみられ、悪影響を及ぼした例として、水銀による水俣病やカドミウムによるイタイイタイ病などがあります。
有害金属による健康障害の例としては、肝臓・腎臓障害、高血圧、骨粗しょう症、中枢神経障害、皮膚障害、胃腸障害、発がん性などがあり、また必須ミネラル欠乏により、皮膚炎、味覚障害、不眠症、免疫力の低下、神経症などをひきおこすとされています。

ミネラルの体内蓄積度を知るには、毛髪ミネラル検査が有効です。
なぜ毛髪なのかというと、毛髪は日々の体内の栄養状態を記録しているからです。
根元に近い部分を検査することにより、最近2〜3ヶ月の状況がわかります。
血液や尿では変動が激しいため、長期的な栄養状態を把握するのに適していません。




ノンメタル治療 〜見た目に美しく機能的にも優れた治療法〜

20世紀の歯科治療は、おもに歯や歯周組織の細菌によるむし歯や歯周病をつめたりかぶせたりして治す治療が主流でした。
金属加工の精密さが向上したため、金属をつかった詰め物、かぶせ物をつかった治療が多く行われてきました。

長期経過した症例を観察すると、金属を用いた治療では、強度が高く壊れにくいことや、複雑な形態のものを製作することができるという利点がありますが、次のような問題点も指摘されています。

・ 見た目の金属色が目立つ
・ 噛む力によって金属の一部に力が集中して歯根が折れたり、歯とのゆがみによるセメントの破壊により歯と金属の間に虫歯ができる
・ 金属アレルギーの原因となる
・ 銀イオンが溶け出すことにより歯や歯肉が変色する
・ 様々な重金属イオンが溶け出して人体へ蓄積され、老化を促進する

このようなことから、金属を使わない詰め物、かぶせ物が体にやさしい治療法のひとつとしてノンメタル治療が注目されています。
最近の歯科材料技術の進歩で、詰め物や1本のかぶせ物以外にも、数本にわたるブリッジや入れ歯にも金属を使わないで製作できるようになっています。




インプラント術前3D-CT画像シュミレーション
〜より安全で確実なインプラント治療を目指して〜

今日では、撮影されたCTデータを3次元デジタル画像に変換して、人体の様々な方向の断面画像を作成できるようになりました。

その技術を口腔インプラントに適用したものが、インプラント術前3D-CT画像シュミレーションで、口腔インプラント植立のための顎骨の正確な診査、診断をサポートします。

具体的には、骨の状態がインプラント植立に適しているか、また最適な植立位置や方向を、骨の幅や骨密度などから判定することができたり、骨が必要な部分に足りない場合などに骨造成を行う際の実際の手術に近いシュミレーションができます。

またこれまでインプラントの植立手術はほとんどの場合、歯肉を切って骨を露出させて、植立後に歯肉を縫い合わせるという手順で行うことが多いため、手術時間が長く、歯肉が治るのに時間がかかりましたが、術前3D-CT画像シュミレーションを行えば、歯肉を切らなくても骨の状態がわかるので、症例によっては歯肉をほとんど傷つけずにインプラントを安全、確実、短時間に植立することができます。

また視覚的にわかりやすい3D画像は、術前シュミレーションだけでなく患者様が治療内容の説明を受けるときにも理解しやすくなります。




歯の銀行(ティースバンク)とは 〜抜いた歯を長期冷凍保存して移植する〜

先日某新聞に「歯の銀行って何?」という記事を見つけ、さっそく資料を取り寄せました。
広島大病院矯正歯科で2004年に設立した企業「スリーブラケッツ」が運営する、世界初の「歯の銀行」です。

どうして抜いた歯を保存する必要があるのかというと、通常、抜いた歯を別の歯が抜けた部分に移植する治療は抜歯後約1時間以内に行う必要があるので、将来むし歯や歯周病で歯を失ったときに自分の歯を移植するには長期間保存しておく必要があるのです。

ティースバンクでは磁場をかけながら食品を冷凍する技術を歯に応用し、広島大病院の冷凍庫でマイナス150度で歯を保存します。

保存可能なのはおもに小臼歯か親知らずで、形を整えることで小臼歯や奥歯に代用できます。
保存できる歯は一人8本までで、最長40年間保存できるそうです。
バンクにはすでに約600人(約1300本)の歯が保存されています。




ナイロン義歯とは 〜口元すっきり、バネのない入れ歯〜

入れ歯はバネが見えるからイヤだ、
歯を削りたくないのでブリッジにはしたくない、
インプラントの手術はしたくない、

などの患者様には、ナイロン義歯というものがあります。

ナイロン義歯とは、スーパーポリアミドというナイロンの一種の素材から義歯用新素材として1956年に開発された義歯で、アメリカではフレキシブルデンチャーと呼ばれています。

特徴として、つぎのようなものがあります。
・ 金属のバネがないので、つけていても他人から義歯とは気づかれにくいです
・ 噛み合わせ、発音機能は通常通りで安定性も良いです
・ 弾力性の高い材料で薄くて軽く、つけたときの違和感が少ないです
・ 無味無臭でアレルギーの心配がありません。FDA(アメリカ食品医薬局)承認済です
・ 衝撃に強く、割れたり、折れたりしにくいです

歯が欠損した場合の治療の選択肢の一つとして、患者様によってはとても有用だと思います。




フッ素の上手な使い方 〜むし歯ゼロをめざそう〜

どうして虫歯になってしまうのでしょうか?

むし歯の進行に関わっているのは次のような因子があります。
@ 食事や間食に含まれる糖や炭水化物
A 虫歯の原因菌(ミュータンス菌、ラクトバチルス菌など)
B 歯やつばの酸に対する抵抗力
C 食習慣

 きちんと磨けていなかったり、好ましくない食習慣で歯の表面の細菌が増え、糖や炭水化物を栄養にして酸を出すので歯が溶けてしまうのです。
 また、歯やつばの酸に対する抵抗力には個人差があり、食事や間食のあとすぐに中性に戻る人もいれば、いつまでも酸性から回復せずにどんどん歯が溶けていく人もいます。

 フッ素は、虫歯になりにくい歯をつくるとされていますが、実際どんな利用方法があるのでしょうか?
@ 水道水のフッ素添加(日本では現在実施されていませんが、地域の地下水などではフッ素含有量の多いものがあるかもしれません)
A フッ素入り歯磨き剤(歯磨き粉を買うときはフッ素が入っているかをチェック!)
B フッ素塗布(歯のクリーニングのあと、高濃度のフッ素を歯に塗ります)
C フッ素洗口(水にフッ素の粉を溶かしてブクブクうがいをします)
D フッ素ジェルやスプレー(歯磨きの後に、フッ素で歯をコーティングします)

ご家庭で簡単に利用可能なものもありますので、できることから始めてみてはいかがでしょうか。




ミニインプラント 〜動かない義歯をめざして〜

下アゴの骨がやせてしまい義歯の安定が悪い、
何度調整しても義歯の痛みがとれない、
普通のインプラント手術のように歯肉を切るのがいやだ、
また高額な費用が出せない
という方には、ミニインプラントシステムという方法があります。

直径1.8ミリのチタン製のネジ状のものを歯肉の上から粘膜を切らずにねじ込んでいき、その上に入れ歯を固定する装置です。
短時間の簡単な手術で治療後すぐに食事ができ、入れ歯がぐらぐら動くことはありません。

特徴として、
・ 歯ぐきを切ったりしません
・ 手術は簡単で短時間です
・ 治療後はすぐに義歯を装着して食事ができます
・ 痛みはほとんどありません
・ 入れ歯はぐらぐら動きません

またこの技術を応用して下の歯が1〜2本だけ抜けてしまったような場合に、ミニインプラントを植立し、ブリッジのように隣の歯を削ることなしに人工の歯をつけることができます。
なるべく歯を削らないで外観を良くするためにはとても効果的です。




くすりで治す歯周病 〜歯周内科治療とは〜

「歯周内科治療」
というのを聞いたことがありますか?

歯科医院で一般的に行われている歯磨き指導と歯石除去を受け、一生懸命歯磨きをしてもなかなか歯肉の炎症が取れず、歯肉の腫れ、出血、口臭に悩まされている方がなかにはおられます。

歯周病に有効な治療法は様々ありますが、そのうちのひとつに、顕微鏡を使って原因である菌を特定し、薬で除菌する方法があります。

この治療法は歯周内科治療というもので、21世紀に入ってから行われ始めました。

歯周病の原因のひとつに歯周病原因菌による感染があります。

歯周内科治療では、「位相差顕微鏡」という直接目に見ることのできない小さな細菌を拡大して観察する装置を用いて菌の活動性や種類を確認し、細菌の除去薬剤の選択、投与を行います。

あわせて抗カビ効果のある歯磨き剤を使用するとより効果的に除菌でき、歯ぐきからの出血、排膿などの症状が軽くなることが多いのです。

歯垢、歯石除去も行うと、口臭が消え、お口の中がすっきりします。




インプラントと歯周病の関係 〜インプラントはどれくらい持つのか〜

今回は先日講演会で聞いてきました最新情報をお伝えしようと思います。

近年、歯科用インプラントを歯の欠損の治療法のひとつとして、患者様に用いることが多くなってきました。

インプラントはどのくらいの期間もつのでしょうか?という質問を良く受けます。
世界の論文をMedlineで検索して調べた結果、一般的には普通の歯と比較してインプラントの喪失率は、ほぼ同程度でした。

ところが、歯周病で歯を失った歯にインプラントを用いた場合、インプラントの5年間の長期的な喪失率は歯周病ではない人に比べて約5倍も高かったそうです。
これは、歯周病で歯をなくしてきた人にインプラントを適用するときにはリスクがそれだけ高いということを意味しています。

インプラントを失う原因で最も多いのはインプラント周囲炎、つまり歯周病菌によるインプラント表面の汚染です。
毎日のセルフケアに加えて歯科医院での歯周病予防がとても大事だといえるでしょう。

歯を健康に保つために毎日の正しい歯磨きはもちろん大事ですが、インプラントを永く持たすためにも、できれば3ヶ月に一度は定期的な歯のクリーニング、メインテナンスを受けられることをお勧めします。




歯周病って恐ろしい? 〜歯周病予防の大切さ〜

歯周病は、日本では35歳以上の実に80%以上の人がかかっているといわれています。

30歳以上の歯を失う原因の第1位である歯周病ですが、かなり病状がすすまないと痛みや腫れといった自覚症状が出ないせいか、発見が遅れることが多いのです。

歯周病の原因は、歯や歯肉の周りにつくプラーク(歯垢)であることが多く、位相差顕微鏡で見てみるとプラークの中には無数の歯周病菌が観察できます。

この歯周病菌が体のいたるところに血液に乗って散らばり、いろいろと悪さをすることがわかっています。

妊娠期に早産をおこす、糖尿病を悪化させる、誤嚥性肺炎をおこす、心臓で心内膜炎をおこす、などが良く知られており、結局歯周病菌が直接的、間接的に脳、目、耳、肺、胃、心臓、肝臓、すい臓などの臓器、粘膜、筋肉、血管、神経、骨などの各組織に悪影響を及ぼしているといわれています。

たかが歯周病とあなどるなかれ、実は恐ろしい病気なのです。




歯科矯正の最近の話題 〜いつから矯正治療を始めればいいの?〜

近年、歯並びと全身疾患との関連が示唆されています。

かみ合わせは、顎関節症と関連しているばかりか、全身の諸症状に大きな影響を及ぼしているのです。

矯正の分野では最近、歯を抜かない治療が積極的に行われるようになってきています。

また、咀嚼(そしゃく)学会などでも若年期からの顎の発育の重要性を強調しています。

これらの変化は、マスコミを通じて広く一般に普及し、子供の歯並びに関心がもたれるようになってきています。

一般に不正咬合は年齢が高くなるにつれて悪化するので、顎の発育のコントロールは、混合歯列期(6〜13歳くらい)の適切な時期に行われるべきです。

若年期に異常を見つけ、適切な処置を行うことは、将来の顎関節症や不正咬合の予防になるばかりか、たとえ不正咬合が発現しても歯を抜かずに矯正できる可能性が高くなるのです。

しかし、永久歯列になってから矯正治療を開始する場合には、顎の発育が期待できないので種々の社会的条件の中で、いかに効率よく健全な顎口腔機能を与えることができるかが問題となります。

その段階では抜歯が必要になることが多いでしょう。




母乳と虫歯の意外な関係〜お子さんのお口の健康を守るために〜

母乳は赤ちゃんの体の栄養として大変優れており、また乳幼児期の母子関係にとっては母子の心の絆を深めるという意味でも大切なことです。

しかし、1歳を過ぎて上の前歯が生えそろってくると、虫歯の原因菌であるミュータンス菌などが歯に付着しやすくなり、糖を含んだ食品を摂る機会も増え、歯垢として歯の表面に多量に増殖するようになります。

ジュースなどが多量の糖を含んでおり、寝る前に哺乳ビンで与えたりすると虫歯を多発させる原因となることはよく知られていますが、母乳の場合はどうなのでしょうか?

実は母乳中の乳糖がミュータンス菌の栄養になってしまうことがわかっています。

ですから、母乳を与えたまま寝かせてしまうのは前歯の多発性の虫歯の原因となるのです。

健康な歯は白く、透明感がありますが、初期の虫歯は歯の表面が白くにごってつやがなく、時にざらついています。こうなったら要注意です。早急に環境を改善する必要があります。

対応策の例としては、次のものがあります。

@ 寝かしつける前に歯ブラシやガーゼで歯の表面をふき取る。

A 寝る前に甘味のつよい食べ物や飲み物を与えない。

B なるべく歯にフッ素を使う。たとえばフッ素塗布を定期的に受ける。

お子さんのお口の健康を守るのは親の役目です。正しい食習慣とケアでお口の健康を守り育てていきましょう。




一歩すすんだ口腔インプラント治療 〜適応症の拡大と治療期間の短縮〜

 昨今のインプラント治療の普及に伴い、多くの歯科医師がインプラント治療に取り組み、骨の幅や高さが十分ある患者様の多くは身近な歯科医院にて治療を受けることができるようになりました。

しかし、歯槽骨の吸収が著しい、歯がほとんど残っていない、上顎洞(上の歯が植わっている骨の空洞)までの骨の量が十分でない、治療期間を短くしたい、交通事故などで前歯を失い、審美性を強く求める患者様など、従来は適応症でなかった患者様のインプラント治療の要求もますます高まる時代になってきました。

そうした要求に応えるための一方法として、

@ 人工骨補填材(骨を増やすための材料)

A PRP(多血小板血漿。骨を早く作ったり傷を早く治したりする)

B 歯槽提増大術(やせた骨の幅や高さを増やす)

C 上顎洞底挙上術(上の顎骨の空洞部分に骨を増やす)

D ソケットプリザベーション(歯を抜いたあとの穴を凹ませずに埋める)

E 歯科用レーザーで傷を早く治す

といった技術、材料を取り入れることでより確実に、美しく、早期にインプラントを植立できるのです。




歯垢には細菌がいっぱい!〜体にやさしい歯周治療について〜

 みなさんは毎日一生懸命歯を磨いていらっしゃることと思います。

毎日きちんと磨いているはずなのに歯肉の不快感、口臭、ネバネバ感がなかなかとれない・・・こうした不快感の原因のひとつに歯周病細菌の増殖があります。

一見異常がなさそうな歯肉でも実際顕微鏡で歯垢中の細菌を観察してみると、驚くほどたくさんの歯周病原因菌がうごめいていることがあります。

なかでもらせん状をした口腔スピロヘータ(トレポネーマデンティコーラ)は歯肉の免疫を抑制し、さまざまな細菌がいっしょに増殖してしまいます。歯周病が進行してしまった患者様のお口の中には必ず存在します。

口腔スピロヘータは毛細血管から体内に入り、血管壁に傷をつけ、血栓を作るといわれており、これが原因で心筋梗塞になることもあります。

口腔スピロヘータは、お口の中のほかに腸管や外陰部にも存在するので再感染を起こしやすく、定期的管理が必要なのです。

歯周病原因菌の数を減らす基本は患者様に適した正しい歯みがきです。まずはご自分でできるだけ歯垢を除去できるようになることが大切です。

それに加えてPMTC(プロの手による歯のクリーニング)を定期的に受けることや、歯周病細菌に効果のある薬剤を服用または塗布することで、より効果的に細菌を減らすことができます。




ホワイトニング・ホワイトコートのすすめ

 最近では歯に対する美しさの要望が高まってきています。

ヤニ、しぶ、歯石、歯垢は歯のクリーニングできれいに取り除くことができますが、もとの歯の色や、歯の神経を取り除いた後の歯の黒ずみは歯みがきやクリーニングでは落とせません。

そうかといって、健康な歯をがりがり削って冠をかぶせたりするのはご自分の歯の寿命を短くすることになります。

ホワイトニングはもとの歯の色をより白くするもので、歯の黄ばみ、薬の影響による軽度の歯の着色、歯の神経を取り除いた後の歯の黒ずみなどを改善することができます。

光を当てる方法と、炭酸ガスレーザーなどを用いる方法があります。一度に真っ白になるわけではなく、徐々に色が明るくなっていきます。ホワイトニングの期間は2週間以上かかり、個人差があります。

用いる材料は厚生省の認可を受けており、安全です。

一度に真っ白にしたい、成人式やパーティー、記念写真の前に一時だけでも白くしたい、という場合にはホワイトコートという歯科材料が最適です。

これは歯のマニキュアのようなもので、歯の表面を白いプラスチックでうすくコーティングします。金属の上に塗って金属の色を消すこともできます。

ホワイトコート処置は1度に完了することができますので、すばやく白い歯にすることができます。こちらも厚生省の認可を受けています。




3Mixとレーザーで痛くない虫歯治療

 前回炭酸ガスレーザーについてお話しましたが、10月15日放送のブロードキャスターの中で「無痛で1回完治へ〜虫歯最先端レーザー治療」が放映され、その中で各種歯科用レーザーについての話も出ていました。

虫歯治療に3Mixやレーザーを応用し、今までの治療法では歯の神経(以下歯髄)を抜く必要があった症状でも、歯髄を抜かないまま治療できるようになったとのことでした。

お子様の生えて間もない乳歯や永久歯は比較的酸に溶けやすく、気がついたら大きな虫歯になっていた・・・ということが少なくありません。痛みに対する感覚も鈍いことが多く、虫歯菌が歯髄に達するくらい深くなっても気づかないことがあります。

そこまで虫歯が深くなると歯髄を除去する治療が必要になることが多いですが、根の先がまだ閉じきっていない状態では予後が良くないことが多いのです。

また大人の歯でも、歯髄の空洞の形は単純なものばかりではなく、歯髄の除去が困難な場合もあります。

そこでそうした困難な治療を行うリスクをできるだけ避けるため、3Mixなど抗菌剤を用いた病巣無菌化組織修復療法という歯髄を抜かない虫歯治療が行われるようになってきました。

またレーザーは光エネルギーを熱エネルギーに変換して治療に用いるもので、瞬間的な高温で歯や歯髄の蛋白を凝固させ、殺菌、消炎、止血、疼痛緩解、治癒促進効果が期待できます。

3Mixとレーザーの併用により、麻酔注射なしで安心、安全な、お子様や有病者、高齢者に優しい虫歯治療を受けることができます。




効果的なレーザー治療

 今までの歯科治療といえば、「抜く、削る、痛い」などといった不快なイメージが強いですが、レーザーは痛みを和らげ、「抜く」「削る」ことを最小限にします。

 歯科分野でもさまざまなレーザー治療器がありますが、今回は炭酸ガスレーザー(以下、レーザーと略します)を使った治療についてお話します。

 レーザーは光のエネルギーが熱エネルギーにかわり、生体の表面に効果が限られるので、周りの組織への影響が少なく安全で、歯科治療に最適です。レーザーは出血させずに悪いところを除去するだけでなく、痛みを和らげたり腫れをおさえ、傷の治りを早くする効果もあります。

 使用する目的はこどもの場合、虫歯予防、口内炎の治療、深い虫歯や歯髄炎の治療、外科的処置など、大人の方ならそれに加えて知覚過敏の治療、歯周病治療、歯肉の黒ずみの治療、歯のホワイトニングなど多岐にわたります。

 レーザーの応用の利点は次のことがあります。

・ 麻酔を必要としないことが多い

・ 血がほとんど出ない

・ 傷の治りが早い

・ 使用後の痛みが少ない

・ フッ素と併用することで歯質強化や虫歯予防ができる

 レーザーは副作用も少なく、妊娠中の方や、高血圧の方、心臓疾患でワーファリンを服用されている方、人工透析されている方でも、ドクターの適切な診断と治療・指導のもとでレーザー治療を受けていただくことができます。




歯科検診で虫歯ありといわれたら

 お子様の歯科検診で虫歯があるといわれました。さてどこに問題があったのでしょうか?
次の項目で当てはまるものがありますか。

□ 子供が嫌がるので歯みがきをあまりさせていない。

□ お父さんお母さんが仕上げ磨きをしていない。

□ スポーツドリンクを水代わりに飲ませている。

□ 夜は遊びつかれて歯を磨かないで寝ることが多い。

□ 特におやつの時間を決めずに欲しがるときに与えている。

□ 時間がないので朝に歯を磨かない。

□ 食べ物を良く噛まずに食べている。

 ひとつでも当てはまったら要注意です。生活環境を改善したほうがよいと思います。

 歯の健康を考えたときの砂糖の許容量は5〜6歳児で1日40〜50gといわれています。

そのうちおやつとして摂取するのは20g程度が妥当です。ちなみに板チョコは約50gサイダーは500ml中56gの砂糖が含まれています。

 また歯の表面に歯垢が長い間付着していると、歯垢中の虫歯の原因菌が酸を産生するので、歯が少しずつ溶けていきます。

一番溶けやすいのは唾液の分泌量が減少している就寝中です。寝る前の歯みがきが一番大事なのはこのためです。

 虫歯のなりやすさは人それぞれ異なります。一度虫歯のなりやすさのチェックをしてみてはいかがでしょうか。




要観察歯COとは

 学校歯科検診では、虫歯は、う歯(C)と要観察歯(CO)とに分類されます。

う歯は、直ちに治療を必要とするもの、要観察歯は経過観察を要するものとして治療せずに様子を見ていくというもので、1995年度から学校歯科保険において使用され、2002年に一部検出基準が改正されました。

 ではどういうものが要観察歯COなのかというと、

@ 歯のかみ合わせの溝において、表面が茶色く色がついているが欠けていないもの

A 歯の平らな面において、表面が白や茶色に脱灰しているが、エナメル質が欠けているかどうかがはっきりしないもの

B 特に歯と歯の間において、精密検査を要する虫歯のような病変のあるもの
となっています。

 保育園検診や、1歳6ヶ月児検診、3歳児検診の場でも、初期虫歯を早期発見、早期治療するという視点ではなく、経過観察していくことが一般的になってきており、地域歯科保険の中でもCOという言葉がこれからますます使用されていくことが望まれます。

 初期虫歯があっても、しっかり歯を磨き、口の中を清潔にして生活習慣を見直して改善すれば、虫歯の進行停止や、元の健康な歯に戻るチャンスがあります。

でもそれまでの生活習慣のままでは、当然のことながら要観察歯は、虫歯へと進行してしまい、治療しなければならなくなります。




虫歯の原因菌の母子感染

 虫歯の原因菌(ミュータンス菌)は硬いところにしか住めないため、生まれたばかりの歯のない赤ちゃんのお口の中には存在しません

生後6ヶ月ころ乳歯が生え始めるころから乳歯の奥歯が生えそろう3歳までが感染のピークだといわれています。とくに、歯の柔らかい2歳までに感染すると、将来虫歯になる可能性が高まってしまいます。

 虫歯の原因菌の感染ルートは、唾液(つば)を介して人から人に移っていきます。

赤ちゃんのときに最も子供に多く接するおかあさん。子供にご飯を食べさせるときに、ひとつのスプーンを使って味見したり、温度を確かめたりすることによって、お母さんの唾液中の虫歯の原因菌が子供に感染してしまうのです。それを「虫歯菌の母子感染」といいます。

 お子さんのお口の健康を守るためにお母さんにできることは何でしょうか? 一番大切なのは、赤ちゃんが生まれる前からしっかりお口のお手入れをして、正しい食生活を守ることによって、お母さんのお口の中の虫歯の原因菌をできるだけ減らすことです。

また、先に説明したように子供と同じスプーンやお箸を使わないようにすることも大事ですが、子供の心の成長のためにもスキンシップもしっかり行うようにしましょう。




子供のお口のお手入れ

子供に歯磨きの習慣づけをするためには、準備段階を含めてステップをふんだアプローチが必要です。

歯が生えたからといっていきなりごしごし磨いたりしては、受け入れ態勢ができていないので、歯磨きが嫌いになってしまいます。

食生活に気をつけながら長期計画で歯磨きの習慣づけをしていきましょう。

出生から6ヶ月くらいのあいだはまだ歯が生えていないので、積極的なお口のそうじは必要ありません。

指しゃぶりおもちゃしゃぶりは口への刺激の取り込みとして大切で、哺乳の反射をなくしたり、口の周りの過敏さをなくさせるのに役立ちます。

下の前歯が生えてきたら、離乳食の後に湯ざましを飲ませたり、ガーゼ磨きをしてあげましょう。

歯ブラシの感触に慣らすため、歯ブラシの「カミカミ遊び」もよいと思います。

上の前歯も生えてきたら、そろそろ歯ブラシを使って磨く習慣をつける時期です。

1日1回は歯ブラシを口に入れる習慣をつけましょう。鉛筆を持つように軽く歯ブラシを持ち、機嫌のいいときに短時間で磨きます。

虫歯予防のために、哺乳ビンでジュースやスポーツ飲料などを飲むことは避けましょう。

奥歯が生えてきたら、虫歯菌が定着しやすくなるので、甘い食べ物は避け歯磨きの習慣をつけながら、虫歯を予防しましょう。

寝る前の歯磨きが基本ですが、歯ブラシに興味を持って自分で磨こうとする子には、まず気が済むまで磨かせてから、親が仕上げ磨きをしてあげるとよいでしょう。




乳歯の生え方と食べる機能の発達

こどもの食べる機能の発達は、歯の生え方と食べ物の与え方により左右されます。口の中の状態に合わせて食べ物の大きさや硬さを工夫して、食べる機能の発達を促していくことが大切です。

6ヶ月頃は、乳歯が生え始める時期です。段階的な離乳食によって、ものを食べる基本的な動き(唇で取り込む、舌で食物を移動したりつぶす、歯ぐきでつぶす)を覚えます。

1歳頃は、前歯がそろう時期です。上下の前歯で噛み切ることを覚え、手づかみ食べによって食べる練習を始めながら、食べ物を一口大に噛みとることを覚えます。

1歳6ヶ月頃は、奥歯が生え始める時期です。上下の奥歯で噛むことを覚えます。前歯で噛みとることで食べ物の硬さや大きさを感知し、それに対する食べ方を覚えていきます。硬さのあるものも少しずつ処理できるようになります。

3歳頃は、奥歯が生えそろいます。歯を使って噛むことが上手になり、硬いものや繊維のあるものも食べられるようになります。

スプーンやフォークなどを使って食べることも上手になります。この時期になると、大人に近い食事が取れるようになるでしょう。




こどもに正しい生活リズムを

今回から、歯科情報「こども編」についてお話させていただきます。

 発育期でもっとも大事なことは、正しい生活リズムの確立です。

子供たちにとっては、栄養摂取、睡眠、運動、つまり食べる、寝る、遊ぶことです。子供に限らず大人でも同じことが言えますが、これが規律的に行われることが最も重要です。

 正しい生活リズムを形成するために必要なのは、まず朝早く起こすことです。そして朝食をしっかり食べさせてください。

 子供の遊びは何のためにあるのかというと、ひとつにはエネルギー消費を導くことです。 よく遊ばせエネルギーを消費させると空腹感を感じ、食欲を引き起こして食べる機能が発達します。

 ところが満腹状態では一向に食べる意欲がありませんから、機能も発達しませんし、たとえば噛むとか飲み込むといった機能も正しく発達しないことになるのです。

あと、昼寝のさせすぎは生活リズムを狂わすので要注意です。 子供と一緒に、親も心身健康で過ごしたいものですね。




体にやさしい歯周病治療A〜根面デブライドメント〜

 歯周病を治療するうえで最も大切な項目のひとつに原因除去がありますが、その原因とは何なのでしょう?

 原因のひとつは歯の表面に付着、歯周ポケットの中で浮遊しているプラークから放出される「エンドトキシン」という毒素であるとされています。

エンドトキシンは免疫細胞を刺激して、炎症を引き起こす作用をもっています。最近の研究ではエンドトキシンの大部分は、歯根表面よりごく表層(30マイクロメートル)に限局して存在していることがわかりました。

 ハブラシでは除去することが困難な歯周ポケット内のプラークを除去し、プラーク細菌の量あるいは質を、炎症が起こらない範囲内にとどめるような環境にすることを「根面デブライドメント」といいます。

 根面デブライドメントでは、なるべく歯根のダメージを減らすために、超音波スケーラーを弱い出力で使ったり、キュレットスケーラーを少ないストロークで使ったりします。

超音波スケーラーによるプラーク、歯石の除去は、チップ先端部の振動、チップ先端部より噴霧状に出る冷却液キャビテーション効果音波効果により効率的に行うことができます。

超音波スケーラーでは除去しきれない歯石、あるいは根面のざらつきなどがある場合にはキュレットスケーラーを用います。

 でも根面デブライドメントの効果を長持ちさせるためにはブラッシングによる通常のプラーク除去が基本であることには変わりありません。毎日の歯磨きが一番大事なのです。



体にやさしい歯周病治療@〜最近の歯周病の病因論〜

 歯の周りにプラーク(歯垢)や歯石が取り巻き、歯肉が赤く腫れたり、歯を磨くとすぐに出血したり、歯肉からウミがでたりというのは、典型的な歯周病の症状です。

ひどくなると、歯が揺れ動き、最後には歯が抜け落ちてしまいます。

 最近は虫歯による歯の喪失は減少傾向にありますので、歯周病による歯の喪失の割合が高くなってきています。また昔と比べて寿命が延びた今日では、早くに歯をなくしてしまうと、その後の入れ歯での生活が長くなってしまいます。

いつまでも食べ物をおいしく食べるためには、今ある歯をいかに長い期間残すかを考えていくことがとても重要なのです。

 最近、歯科分野では虫歯予防の観点から、なるべく歯を削らないで残そうという「ミニマム・インターベンション(最小侵襲療法)」という考え方が支持されてきていますが、歯周病治療でも、なるべく歯根表面を削らずに残そうとする動きがあります。

 昔から歯の表面についた歯石が歯周病の原因とされ、歯根表面から徹底的に歯石を除去し、表面を滑らかにするために歯根表面を削るという治療が行われてきました。

しかし最近は、歯石よりもむしろ歯の表面に付着、浮遊している歯垢から出る毒素が歯肉の炎症を引き起こす原因とされ、歯肉に隠れた深い部分の歯垢除去の必要性が指摘されています。

次回は歯肉縁下のプラークコントロール法である「根面デブライドメント」について説明します。



虫歯を自然な色調に治す〜ダイレクトボンディング〜

 最近の虫歯治療は患者さんのニーズの質が高まり、審美的に満足の得られるものが求められるようになってきました。なるべく歯を削らないで治してほしい、見た目をきれいにつめてほしい、とはだれもが願うことです。

インレーなどの部分的な銀歯では金属の厚みを作るために余計に歯を削らなければならないし、アマルガムといわれる金属の詰め物は銀色で色調が歯になじまず、単一色のコンポジットレジンでは微妙な歯の透明感がなかなか再現できない、といった問題点があげられます。

 歯科業界でも最小の侵襲で良好な結果をもたらすMI(ミニマム・インターベンション)的な充填材料、とくにコンポジットレジンや接着性材料が求められ、充実してきています。

 虫歯の治療方法のひとつにダイレクトボンディングというものがあります。どういうものかというと、虫歯の部分だけを最小限に除去し、歯の表面を樹脂化処理したうえでハイブリッドタイプのコンポジットレジンを盛り上げて修復するものです。

 とくに前歯は見た目の美しさが重視され、適切な透過性と色調のコンポジットレジンを複数層に積み上げることにより見た目が美しく、自分の歯との境目がわかりづらくなります。

また、黄ばみなどの変色破折も一般のコンポジットレジンに比べ起こりにくいとされています。



ホワイトニングで輝く白い歯にA

 今回はホワイトニングの手順について説明します。

まずは着色の原因をつきとめ、生活習慣や、嗜好品をチェック、アレルギーの有無も調べます。

次に口腔内診査を行い治療計画を立て、了解を得たら治療を開始します。

このとき診療所で治療を受ける「オフィスホワイトニング」と、患者さんが自宅でホワイトニング用トレーを装着することで進行する「ホームホワイトニング」のどちらを行うかを決定します。

@ 歯面清掃 歯の表面のヤニ、しぶ、歯石を除去し、ホワイトニング剤の浸透性を高めます。

A 口腔内写真撮影 口腔内撮影用カメラでホワイトニング前の状態を記録します。

オフィスホワイトニングの場合

B 歯肉の保護 薬剤が歯肉に触れないようにしっかりガードします。

C ホワイトニング剤の塗布 ホワイトニング剤を練り合わせ、歯面に塗布します。

D ホワイトニング 薬剤に光を当てて反応を促進させます。

E 洗浄 薬剤をふき取ります。

 B〜Eを数回繰り返します。

ホームホワイトニングの場合

B トレー作製用印象採得 ホワイトニング用トレーを作るための型をとります

C トレーの試適 トレーをつけてみて問題なければホワイトニング剤と一緒にお渡しします

D 自宅で好きな時間に1日2〜3時間ホワイトニング、何度か来院していただき、どの程度白くなったかを写真をとって最初と比べて評価します。

 希望の白さになるまで続けます。場合によってはオフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用することもあります。



ホワイトニングで輝く白い歯に

 世界有数の多民族国家アメリカではあらゆる人種に共通する言葉以外の友好のサインとして「スマイル」が必要不可欠です。

とりわけ「輝く白い歯」が重要で、白く美しい歯でないと出世しないといわれるほどだそうです。

一方日本は積極的に容姿を強調する文化ではありませんが、最近では若い女性の間でも透明感のある白い歯が憧れの対象になる傾向にあるようです。

 歯を白く美しくする治療法のなかで、ホワイトニングはその一翼を担っており、歯の切削を伴わないという大きな利点があります。

PTCプロフェッショナル・トゥース・クリーニング)、ホワイトニングは歯の白さを維持するためにはとても有効です。世界的に急速に高まってきたMI(最小侵襲療法)とも連動して、最小の侵襲で最大の効果が得られるホワイトニングを中心にした歯科治療は今後ますます需要が高まると思われます。

 ホワイトニングには大きく分けて診療所で治療を受ける「オフィスホワイトニング」と患者さんが自宅でホワイトニング用トレーを装着することで進行する「ホームホワイトニング」があります。

 歯のホワイトニングが可能なのは、加齢による歯の黄ばみテトラサイクリンによる軽度から中等度の変色フッ素症による変色研磨では除去しきれない表面着色などです。

 次回は歯のホワイトニング治療の手順などについてお話します。



歯科用インプラントにできること

 今日、歯をなくされた方の治療法のひとつとして、歯科用インプラントが技術的に確立され、国内外の多くのメーカーでインプラントが製造され、供給されております。

 歯科用インプラントとは、歯を失った顎の骨に人工歯根を埋め込んで、天然歯のかわりをさせるものです。

人工歯根の種類は多数あり、材質はおもにチタンが使われます。

どうしても取り外しの義歯が受け入れられない人や、また歯を削ってブリッジにする方法に抵抗のある人などに適応されます。

インプラント治療の利点

・ 健全な歯を削らすにすむ

・ 残存歯の負担を軽くできる

・ 違和感が少ない

・ 取り外さずに固定できる

・ 顎の骨の吸収を妨げる

インプラント治療の欠点

・ 観血的な手術を必要とする

・ インプラントが骨と接合するために治療期間が長くかかる

・ 全身の状態及び骨の状態によっては、適応できない場合がある

・ 保険が適用できないので、高額な費用がかかる

インプラントはどれくらい持つのか

 インプラントを埋める場所、患者さんの年齢、全身疾患、お口の清掃状態、喫煙習慣、骨の緻密度、ブラキシズム(悪習癖)などのリスクにより予後は大きく左右されます。

良好な環境下においては数十年使い続けている方もおります。

インプラントを長持ちさせるためには

 通常の歯ブラシによる丁寧なブラッシングに加えて歯間ブラシ、糸ようじなどを補助的に利用し、歯科医院での定期的な機械的歯面清掃(PMTC)を受けることをお勧めします。

 どうぞお気軽にご相談ください。



なるべく歯の神経を残す治療〜3Mix-MP法

 「歯には3度の死がある」とある先生が講演会で話していました。

1度目は初めて歯を削ったとき、2度目は歯の神経を取ったとき、3度目は歯を抜いたときだそうです。

近年寿命が延びていますので、虫歯や歯周病で歯を失ってからの期間が長くなる傾向にあります。

つまり一生自分の歯で物を食べるためにはなるべく歯を削らず、歯の神経を残した方がいいのです。最良の根の詰め物はもともとある歯の神経です。

 3Mix-MP法は病巣無菌化組織修復療法、つまりできるだけ象牙質、歯の神経を除去することなく組織修復を図り、病変部を健全組織に置き換えようとする治療法のひとつです。

虫歯の原因菌によって柔らかくなってしまった歯の象牙質は、無菌化されると再び硬くなるといわれています。

3Mixとはメトロニダゾールミノサイクリンシプロフロキサシンという3つの抗菌剤を混ぜ合わせたものであり、マクロゴール、プロピレングリコールという軟膏状の基材と混合して用います。

 虫歯が根の神経まで達していると思われる場合でも、神経が生きていて普段痛みがないか、物を食べたり歯を磨いたりした時に少し痛みがある程度の場合、当院では積極的に3Mix-MP法を使います。

3Mix-MP法は、深い虫歯歯の神経の炎症歯周病などの治療に応用可能とされています。



痛くない高周波治療

歯科高周波治療では周波数0.5メガヘルツ、最大出力50ワットのラジオ波を用います。高周波治療とは電流をコイルに流し生体内に交流磁界を発生させ、誘導された渦電流で組織を加温し、様々な治療効果を発揮する温熱療法のひとつです。

高周波と聞いて体に悪いんじゃないか、と思われるかもしれませんが、高周波治療の周波数0.5メガヘルツと比べ、携帯電話は800〜2000メガヘルツです。

この点から見て周波数、出力は許容値以下で生体への悪影響を心配することはありません。

歯科における高周波治療には、電気メスに代表される接触法と、電極が生体組織と直接接しない非接触法とがあります。

接触法では、生体に高周波電流を流して、このとき接触点の電気抵抗の変化により発生する熱を利用して組織を切ったり血を止めたりします。

治療内容によっては麻酔の必要がない場合があります


非接触法では生体内で電気抵抗が高くなっている異常組織の温度を上昇させて壊死させ、痛みを緩和させます。

麻酔をする必要がなく、無痛治療が可能です。

歯科領域では、様々な症例に高周波治療を応用することができます。どうぞお気軽にご相談ください。

@歯槽膿漏いわゆる歯周病の治療

A歯の神経を除去する治療

B歯がしみたりする痛みを和らげる治療

C電気メス、止血

D歯肉の黒ずみなどの色素沈着を除去する治療

E口腔乾燥症、親知らず周囲の炎症、顎関節症の治療



PMTCと3DS

なんか見慣れない英語の頭文字をつなげた単語が出てきました。ちょっと内容を説明しましょう。

PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略称です。

ブラッシングなどのセルフケアよりも精度の高いバイオフィルムの物理的除去と、粗造な歯面の滑沢化を行います。

具体的なPMTCの方法は、

@プラークの染め出し、

A研磨剤の注入または塗布、

B各歯面の清掃、研磨、

C口腔内の洗浄(歯周ポケットの洗浄)、

Dフッ化物の塗布、
という具合に行います。

PMTCは、歯や歯肉の清掃を専門の器具を使ってていねいに行うので、虫歯、歯周病予防効果が高いだけでなく、歯がツルツルになってとても気持ちがいいものです。

また歯肉の腫れや痛みを抑え、苦痛緩和、歯の延命効果も期待できます。

また、3DSとは、Dental Drug Delivery Systemの略称です。

3DSはバイオフィルムの化学的除去法であり、PMTC後、ドラッグリテーナーといわれるトレーを用いて抗菌剤を歯の表面に運び、一定時間歯面に作用させ、バイオフィルムの最定着の原因となる残存バイオフィルム細菌を除菌します。

数回の3DSにより、歯の表面の病原性バイオフィルムが、常在菌からなる健全バイオフィルムに置換されると考えられています。



知っておきたいバイオフィルム

お口の中は、温かくて湿っていて、ときどき栄養が入ってくるので、細菌の格好の住み家・・・・と思ったら、細菌学者によると実はそれは誤りで、唾液や体液中には多くの抗菌物質が含まれており、歯肉にちかいところで漂っているだけでは免疫細胞にすぐに食べられ、下手をすると細菌たちはすぐに洗い流されて消化管に送り込まれて強い酸により殺されてしまうなど、むしろ住みにくい環境なんだそうです。

そこで悪玉菌は自分たちが産生した多糖体の中に他の菌も取り込んで、お互いが居心地よく住めるような一種の共同体(コロニー)をつくり、次第に合体して集合体(マトリックス)を歯の表面につくります。

このようなマトリックスを細菌性バイオフィルムといい、抗生物質や、免疫細胞に対して抵抗性をもっています。

バイオフィルムの観点から虫歯、歯周病を定義すると、虫歯とはバイオフィルムでつくられた酸が直接歯を溶かす病気歯周病とは免疫細胞がバイオフィルムと戦って分解酵素を放出することによって起こる歯肉の病気なのです。

お口の中には歯の表面付近で浮遊しているプラークと、歯にしっかりくっついたバイオフィルム状のプラークがあります。

歯磨きで除去できるのは浮遊しているプラークだけであり、バイオフィルム状のプラークは簡単に除去することはできず、うがい薬や抗生物質の軟膏もあまり効果がないのです。



唾液検査のすすめ

どうして虫歯になるのでしょうか?

虫歯は、お口の中の細菌が私たちの食事から養分を摂取して排出したによって歯が溶けてしまう現象をいいます。

最近、予防歯科という言葉がTVなどでよく使われるようになってきました。

虫歯のかかりやすさは個人個人で異なります。

唾液検査をすることによって、お口の中の虫歯の原因菌(ミュータンス菌、ラクトバチルス菌)の数、虫歯に対する抵抗力(唾液分泌速度、唾液の酸緩衝能力)を知ることができます。

その他、虫歯のかかりやすさに関わる因子として、間食のとり方や内容、歯磨きの回数、フッ化物の利用などがあります。

虫歯を予防するためには、大人も子供もこれらのリスク予防法を知り、それぞれをコントロールしていくことが重要なのです。

虫歯にかかるリスクを低くするためには、次のことをお勧めします。お子さんの虫歯予防にも役立ててください。

お口の中を清潔に
口の中の細菌は歯垢(プラーク)を形成して停滞します。歯磨きや、抗菌作用のある洗口剤でのうがいなどを心がけましょう。

食事は時間を決めて
食事や間食をするたびに、口の中は酸性になり虫歯になりやすい環境になってしまいます。おやつも時間を決め、規則正しい食生活を送りましょう。

よくかんで食べましょう
よく噛むことで唾液の分泌は促進され、唾液のさまざまな効能により、虫歯に対する抵抗力を強めます。

歯を強くしましょう
フッ素入りの歯磨き剤や洗口剤などを使用することで、酸に溶けにくい丈夫な歯になります。



歯磨きのコツ

最近はテレビ番組や雑誌の特集などで、歯科の話題が取り上げられることが多いですね。 それだけ歯に関心が高くなってきているということなのでしょう。

先日セミナーに出席し、興味深い話を聞いてきたので披露します。

皆さん、毎日歯を磨くとき、どこで磨いていますか?たいていは洗面所で鏡を見ながらごしごしやっているのではないですか?

狭く薄暗い洗面所でごしごしやっていると、早く切り上げたくなってしまうでしょう?それに鏡をみていても、たいていは自分の歯なんて見ていませんよね。

そこで提案です。

歯を磨くとき、居間のソファーに座ってお気に入りのテレビ番組でも見ながら、リラックスしてゆっくりと磨いてみてはいかがですか?

歯磨きが少し楽しくなりませんか?ぜひやってみてください。

いつもよりも時間をかけて丁寧に磨くことができるはずです。

それと大切なのは、舌の感覚です。

舌で歯の表面をなめてみてください。

歯垢や歯石
がついていると、ざらざらした感触があるはずです。反対に良く磨けている歯はつるつるしています。

磨いたあとは舌で歯をなめてみて、よく磨けたかどうかをセルフチェックしてみましょう。

虫歯予防の要は毎日の歯磨きですから、しっかり磨いておきたいものです。